戦国時代
天野忠幸『三好一族』は三好氏に関する令和3年段階での情報量をまとめあげた一冊である。それゆえにあまりな馴染みのない情報も多々あった。今回取り上げる以下の文章もその一つ。 三好氏も、三好実休が遊佐信教に対して、順慶に意見して三碓庄(奈良市)を…
近年織田信長の先駆者として三好長慶の再評価が進むどころか、かなり一般に定着している趣さえある。実に喜ばしいことだが、畿内戦国史は京都の西だけで成り立っていたわけではない。三好政権の評価が進むほど、三好サイドではない側面もまた重要なものとし…
学習漫画というジャンルがいつからあるのかはよく知らないが、児童向け、あるいはもう最近は大人向けでも、学問内容や自身の主張を漫画化する手法は一般的になっている。文字ばかり並んでいるのにうんざりする人間でも漫画なら読めるし、漫画技術も発達して…
戦国史研究。戦国時代は日本の歴史上人気が高い時代の一つだ。摂関藤原氏や執権北条氏を誰一人知らないような者でも、戦国武将を一人も知らないのはまずあり得ないと言っていいほど、現代に生きている者にとって戦国時代のコンテンツは日常にある。中世から…
今年は三好長慶生誕500周年!それに合わせてこの秋も色々と企画が目白押しでしたが、博物館展示として現状のトリを飾ることになったのが堺市博物館・特別展「堺と武将 三好一族の足跡」!10月29日から12月11日までの開催となっております。 www.city.sakai.l…
今年は三好長慶生誕500周年!ということで、この秋は博物館展示やイベントが目白押し!9月23日から始まっている高槻市しろあと歴史館の特別展「戦国武将 三好長慶―生涯と人々―」に続く形となったのが、大東市立歴史民俗資料館・特別展「三好長慶と大東市の中…
松永久秀は戦国武将でも知名度を誇る人物の一人だが、彼には有力な弟がいた。松永甚介長頼というのがその弟である。長頼の存在は長らく久秀の影に隠れていたが、今谷明氏が畿内戦国史研究を本格化させた中で注目され、その軍事的才覚が評価されることになっ…
今年は三好長慶生誕500周年!しかしまあ三好氏ってまだまだマイナーな存在だし、生誕500周年だからと言って何かあるものでも…と思っていたら、秋から各所で三好氏にまつわる博物館展示や講演イベントが目白押し!まだまだ世間ではマイナーどころか、こんなに…
近頃、森脇崇文「戦国期阿波守護細川家関係者「氏之」の素性について」(徳島地方史研究会『史窓』52号、2022年3月)が発行された。かつては「細川持隆」として知られていた天文期の阿波守護細川家(讃州家)の当主が実際に使用した実名が「氏之」であること…
安土城考古博物館・春季特別展示「戦国時代の近江・京都―六角氏だってすごかった!!―」を観に行ってきました。 azuchi-museum.or.jp 六角氏の最新研究を詰め込んだ『六角定頼』が発売されて早3年!ようやく博物館展示でも六角氏をテーマにしたものが現れまし…
高槻市では昨年よりBOTTO高槻の企画の一環として「マニアック武将印」というのをやっている。高槻市に所在する芥川城(芥川山城)は三好長慶が居城としていたこともあり近年注目が集まっている。その芥川城に在城していたマニアックな武将たちを武将印にして…
四国東部の戦国史は常に畿内のそれと不可分な関係にあった。畿内で力を持った細川氏・三好氏は四国東部を勢力としていたし、織田信長も三好氏との関係を一つの軸として四国情勢に関与・介入した。一方で、畿内権力の研究が様々な角度から切り取られて進展し…
いやもうタイトル通りです。永禄末期以降の伊丹氏当主は伊丹忠親であって伊丹親興ではない。足利義昭の幕府に従っていたのも伊丹親興ではなく伊丹忠親である。元亀の争乱で戦ったのも伊丹親興ではなく伊丹忠親である。荒木村重によって伊丹を奪われ没落した…
先日、「松浦光―和泉国の戦国大名」に情報提供をいただいた。 monsterspace.hateblo.jp それを聞いて驚いた。永禄11年の九条稙通の動向を示す文書があるという。shoryobu.kunaicho.go.jp それが上記リンクの天正13年(1585)の『稙通公記』の紙背に残された…
結城忠正は松永久秀の重臣として、そして畿内の最初の日本人キリシタンの一人としてよく知られる。彼についてはそれ以上の情報があまりなかったが、近年木下聡氏が奉公衆結城氏の検討を進める中で忠正が奉公衆結城氏の系譜を継ぐことが明らかになった(「奉…
先日発売された『三好一族』は著者天野忠幸氏本人の研究の集大成という側面だけではなく、三好氏にまつわる最新の研究動向をふんだんに取り入れたものとなっている。その一つとして、村井祐樹氏による松永久秀書状の再評価も取り上げられている。問題になっ…
昨年、木下昌規先生は『足利義晴と畿内動乱―分裂した将軍家』を上梓された。その時は「義晴で一冊が出るとはすごいなあ。でも義晴の死後や評価について書かれていないなあ」などと思ったものだったが…。後から思うと迂闊だった。まさか足利義輝本を用意され…
『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、実休・存保(義堅)に続きこれまた記事として典拠付でまとめておく。monsterspace.hateblo.jp monsterspace.hateblo.jp織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 三好康長の系…
天野忠幸先生と言えば、このブログで三好氏について触れだしてから何度も何度も名前を出させていただいている三好氏研究の泰斗だが、意外なことにこれまで著書の感想を記事にしたことがなかった。『戦国期三好政権の研究』や『三好長慶』、『三好一族と織田…
※本記事は真鍋淑郎さんの出自を特定あるいは推定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。 先日真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞された。実におめでとうございます。真鍋さんはすでにアメリカ国籍ということだが、出身は愛媛県四国…
『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、実休に続きこれまた記事として典拠付でまとめておく。 monsterspace.hateblo.jp織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 十河存保の生年 十河存保の活動経歴(1)~十河氏の当…
『戦国遺文 三好氏編』一四〇〇号「三好長逸書状」の年次比定について、近年ちょっとした論の食い違いが見られたので少し考えてみる(というほどのものでもないが)。まずは問題となる文書を以下に引用し、私訳を示しておく。 三好長逸書状(切紙) 保阪潤治…
『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、一応記事として典拠付でまとめておく。織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 三好実休の生年 三好実休の活動経歴(1)~阿波細川重臣時代 三好実休の活動経歴(2)~長慶の…
戦国時代は世界的には大航海時代と重なっている。ヨーロッパ世界の航海技術が著しく進歩して、ヨーロッパ世界から直接的に人物や文化が流入することが可能となった。そのヨーロッパ世界から最も遠かった国の1つが日本であった。しかし、その日本へも1540年代…
近年歴史関係の本は充実していっている。背景として研究の深化があることは間違いないが、一昔前だとなかなか出ないようなテーマでの一般書が出版されている。出版不況が叫ばれて久しい中、マイナー気味なテーマでの出版が可能であることは、それだけであり…
大河ドラマ「麒麟がくる」は明智光秀が主人公のドラマだが、松永久秀の存在もそのドラマを彩っていた。何せ、久秀は第1話から登場し、最終回の5話前である第40話まで出演し続けた。もちろん間に出ていない回も多いが、間違いなく松永久秀は主要登場人物であ…
そう、僕は気付いたんだ。ずっと宿題忘れてた…ではなくて、和泉下守護家の(正確な)系譜がネット上にも手頃な本にも転がっていないことに。ぶっちゃけローカルなネタはこういうことが多い。そもそもとして、少し大きな通史として展開されると書き飛ばされて…
南丹市立文化博物館にて秋季特別展示「八木城と内藤氏~戦国争乱の丹波~」を観に行って参りました。 http://www.be.city.nantan.kyoto.jp/hakubutukan/tenji_kikaku/2020/yagi.pdf 【南丹市立文化博物館秋季展示会のお知らせ】明日(10/24)から「八木城と…
近年の畿内戦国史研究は目覚ましい成果が上げられているが、当然ながら室町幕府研究もその一角を形成している。ではその実像はどうであったのか、という点は最近『戦国期足利将軍研究の最前線』が出たので、これまでの通説を見ながら最新像を手堅く、それで…
柳本賢治という人物をご存知だろうか。戦国武将の中では大して有名というわけではないし、一般知名度は絶望的であろうが、畿内戦国史を少し齧っていればどこかで名前くらいは見たことがあるはずである。柳本賢治は細川高国政権の消長に深く関わっている人物…