志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

戦国時代

香西元成禁制に記された弘治年号

近頃、森脇崇文「戦国期阿波守護細川家関係者「氏之」の素性について」(徳島地方史研究会『史窓』52号、2022年3月)が発行された。かつては「細川持隆」として知られていた天文期の阿波守護細川家(讃州家)の当主が実際に使用した実名が「氏之」であること…

安土城考古博物館・春季特別展示「戦国時代の近江・京都―六角氏だってすごかった!!―」

安土城考古博物館・春季特別展示「戦国時代の近江・京都―六角氏だってすごかった!!―」を観に行ってきました。 azuchi-museum.or.jp 六角氏の最新研究を詰め込んだ『六角定頼』が発売されて早3年!ようやく博物館展示でも六角氏をテーマにしたものが現れまし…

芥川孫十郎は三好一族か?

高槻市では昨年よりBOTTO高槻の企画の一環として「マニアック武将印」というのをやっている。高槻市に所在する芥川城(芥川山城)は三好長慶が居城としていたこともあり近年注目が集まっている。その芥川城に在城していたマニアックな武将たちを武将印にして…

石井伸夫・重見髙博・長谷川賢二編著『戦国期阿波国のいくさ・信仰・都市』(戎光祥出版)の感想

四国東部の戦国史は常に畿内のそれと不可分な関係にあった。畿内で力を持った細川氏・三好氏は四国東部を勢力としていたし、織田信長も三好氏との関係を一つの軸として四国情勢に関与・介入した。一方で、畿内権力の研究が様々な角度から切り取られて進展し…

永禄末期以降の摂津伊丹氏の当主は伊丹忠親である

いやもうタイトル通りです。永禄末期以降の伊丹氏当主は伊丹忠親であって伊丹親興ではない。足利義昭の幕府に従っていたのも伊丹親興ではなく伊丹忠親である。元亀の争乱で戦ったのも伊丹親興ではなく伊丹忠親である。荒木村重によって伊丹を奪われ没落した…

「元関白・九条禅閤稙通、塩川長満の居城にあらわる!」の御紹介―稙通公記紙背文書「発見」の意義

先日、「松浦光―和泉国の戦国大名」に情報提供をいただいた。 monsterspace.hateblo.jp それを聞いて驚いた。永禄11年の九条稙通の動向を示す文書があるという。shoryobu.kunaicho.go.jp それが上記リンクの天正13年(1585)の『稙通公記』の紙背に残された…

結城忠正の出自について

結城忠正は松永久秀の重臣として、そして畿内の最初の日本人キリシタンの一人としてよく知られる。彼についてはそれ以上の情報があまりなかったが、近年木下聡氏が奉公衆結城氏の検討を進める中で忠正が奉公衆結城氏の系譜を継ぐことが明らかになった(「奉…

松永久秀が病状を悲嘆した「殿」は三好長慶か?

先日発売された『三好一族』は著者天野忠幸氏本人の研究の集大成という側面だけではなく、三好氏にまつわる最新の研究動向をふんだんに取り入れたものとなっている。その一つとして、村井祐樹氏による松永久秀書状の再評価も取り上げられている。問題になっ…

木下昌規『足利義輝と三好一族―崩壊間際の室町幕府』(中世武士選書・戎光祥出版)の感想

昨年、木下昌規先生は『足利義晴と畿内動乱―分裂した将軍家』を上梓された。その時は「義晴で一冊が出るとはすごいなあ。でも義晴の死後や評価について書かれていないなあ」などと思ったものだったが…。後から思うと迂闊だった。まさか足利義輝本を用意され…

三好氏居所集成・三好康長編

『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、実休・存保(義堅)に続きこれまた記事として典拠付でまとめておく。monsterspace.hateblo.jp monsterspace.hateblo.jp織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 三好康長の系…

天野忠幸『三好一族―戦国最初の「天下人」』(中公新書)の感想

天野忠幸先生と言えば、このブログで三好氏について触れだしてから何度も何度も名前を出させていただいている三好氏研究の泰斗だが、意外なことにこれまで著書の感想を記事にしたことがなかった。『戦国期三好政権の研究』や『三好長慶』、『三好一族と織田…

海を渡り実力評価を求めた真鍋氏

※本記事は真鍋淑郎さんの出自を特定あるいは推定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。 先日真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞された。実におめでとうございます。真鍋さんはすでにアメリカ国籍ということだが、出身は愛媛県四国…

三好氏居所集成・十河存保(三好義堅)編

『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、実休に続きこれまた記事として典拠付でまとめておく。 monsterspace.hateblo.jp織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 十河存保の生年 十河存保の活動経歴(1)~十河氏の当…

4月30日付新治伊予守(稲葉一鉄)宛三好長逸書状の年次比定について

『戦国遺文 三好氏編』一四〇〇号「三好長逸書状」の年次比定について、近年ちょっとした論の食い違いが見られたので少し考えてみる(というほどのものでもないが)。まずは問題となる文書を以下に引用し、私訳を示しておく。 三好長逸書状(切紙) 保阪潤治…

三好氏居所集成・三好実休編

『織豊期主要人物居所集成』の三好氏版。Twitterで毎日連載していたが、一応記事として典拠付でまとめておく。織豊期主要人物居所集成〔第2版〕思文閣出版Amazon 三好実休の生年 三好実休の活動経歴(1)~阿波細川重臣時代 三好実休の活動経歴(2)~長慶の…

池田教正―受け継がれる河内キリシタンの記憶

戦国時代は世界的には大航海時代と重なっている。ヨーロッパ世界の航海技術が著しく進歩して、ヨーロッパ世界から直接的に人物や文化が流入することが可能となった。そのヨーロッパ世界から最も遠かった国の1つが日本であった。しかし、その日本へも1540年代…

中脇聖編著『家司と呼ばれた人々』感想

近年歴史関係の本は充実していっている。背景として研究の深化があることは間違いないが、一昔前だとなかなか出ないようなテーマでの一般書が出版されている。出版不況が叫ばれて久しい中、マイナー気味なテーマでの出版が可能であることは、それだけであり…

明智光秀と松永久秀の関係

大河ドラマ「麒麟がくる」は明智光秀が主人公のドラマだが、松永久秀の存在もそのドラマを彩っていた。何せ、久秀は第1話から登場し、最終回の5話前である第40話まで出演し続けた。もちろん間に出ていない回も多いが、間違いなく松永久秀は主要登場人物であ…

和泉下守護細川家列伝

そう、僕は気付いたんだ。ずっと宿題忘れてた…ではなくて、和泉下守護家の(正確な)系譜がネット上にも手頃な本にも転がっていないことに。ぶっちゃけローカルなネタはこういうことが多い。そもそもとして、少し大きな通史として展開されると書き飛ばされて…

南丹市立文化博物館・秋季特別展示「八木城と内藤氏~戦国争乱の丹波~」

南丹市立文化博物館にて秋季特別展示「八木城と内藤氏~戦国争乱の丹波~」を観に行って参りました。 http://www.be.city.nantan.kyoto.jp/hakubutukan/tenji_kikaku/2020/yagi.pdf 【南丹市立文化博物館秋季展示会のお知らせ】明日(10/24)から「八木城と…

木下昌規『足利義晴と畿内動乱―分裂した将軍家』(中世武士選書・戎光祥出版)の感想

近年の畿内戦国史研究は目覚ましい成果が上げられているが、当然ながら室町幕府研究もその一角を形成している。ではその実像はどうであったのか、という点は最近『戦国期足利将軍研究の最前線』が出たので、これまでの通説を見ながら最新像を手堅く、それで…

柳本元俊は柳本賢治の息子か

柳本賢治という人物をご存知だろうか。戦国武将の中では大して有名というわけではないし、一般知名度は絶望的であろうが、畿内戦国史を少し齧っていればどこかで名前くらいは見たことがあるはずである。柳本賢治は細川高国政権の消長に深く関わっている人物…

黒嶋敏『天下人と二人の将軍:信長と足利義輝・義昭』(平凡社)の感想

ここ10年ほど畿内戦国史を彩る風景はだいぶ様変わりしている。信長上洛以前の権力(室町幕府・細川京兆家・六角氏・畠山氏・三好氏)の実態解明が進んだことで織田信長の上洛、あるいは織田政権の成立を画期と見なす時代観は大きく動揺し、再考を迫られてい…

柴裕之編著『図説 豊臣秀吉』(戎光祥出版)のススメ

小学生以来歴史とは長い付き合いになる。私の位置としては一介の歴史ファンの域を出ていない。しかし、それなりに最新研究も能動的に摂取していると、どうしても知識としてはディープなものになる。「初心者」ではないわけである。一方、歴史というジャンル…

高槻市しろあと歴史館・トピック展示「戦国武将・松永久秀と高槻」を見に行って来た!

「たかつきDAYS(広報たかつき)」(http://www.city.takatsuki.osaka.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/11/koho200301all.pdf)を読んでいたら、突然見たことがない松永久秀の肖像画が飛び込んできたのもだいぶ昔な気がする(ついろぐで見てみたら2月…

石成友通(長信・岩成友通)―近世への「手負せ」の中で

いきなり個人的な昔話を語って申し訳ないが、私が「三好三人衆」を知ったのは小学4年生の頃であった。学研だったかの教材に三英傑が主人公の歴史漫画が掲載されており、織田信長の上洛戦の時に「松永久秀と三好三人衆が将軍を暗殺した」という下りがあったの…

『興福院所蔵鷹山家文書調査報告書』のススメ

4月上旬頃から『鷹山家文書調査報告書』というのはすごいらしいという噂が聞こえてきた。しかも聞くところによると、充実の内容にして2000円という安価!付属論文も錚々たるメンツが書いている。家にいてもやれることは多くはないし、自粛のお供と思って買っ…

(年未詳)3月2日牧郷宛池田教正・多羅尾綱知連署状の年次比定について―「御家門様」とは誰か

日本史を素描していくための史料として基礎となるのは、やはり当事者がその時々に遺した文書や手紙、日記ということになる。こうした史料にはリアルタイムの認識が直に反映されていると見られるからである。ところが、こうした史料の「素性」というのはすぐ…

山田康弘『足利義輝・義昭 天下諸侍、御主に候』(ミネルヴァ書房)の感想

『足利義輝・義昭』に何を見出したいと思っていたのか いやあ出ましたね。山田康弘先生による『足利義輝・義昭』!もう発売から2ヶ月経っておいて「出ましたね」も何もないのですが、著者といい題材といいいつ読んでも「出たな!」という重みがある。足利義…

三好宗渭(政勝・政生)with三好為三―生存を賭けた闘争

戦国時代、三好長慶は細川晴元や将軍足利義輝と戦い三好政権を樹立した。長慶は三好之長以来、受領名「筑前守」を名乗る三好氏の嫡流であった。一方で三好氏には多数の支流があり、長慶という「主流」にある時には従い、ある時には対立して生き残りを図った…