志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

足利義輝

木下昌規『足利義輝と三好一族―崩壊間際の室町幕府』(中世武士選書・戎光祥出版)の感想

昨年、木下昌規先生は『足利義晴と畿内動乱―分裂した将軍家』を上梓された。その時は「義晴で一冊が出るとはすごいなあ。でも義晴の死後や評価について書かれていないなあ」などと思ったものだったが…。後から思うと迂闊だった。まさか足利義輝本を用意され…

黒嶋敏『天下人と二人の将軍:信長と足利義輝・義昭』(平凡社)の感想

ここ10年ほど畿内戦国史を彩る風景はだいぶ様変わりしている。信長上洛以前の権力(室町幕府・細川京兆家・六角氏・畠山氏・三好氏)の実態解明が進んだことで織田信長の上洛、あるいは織田政権の成立を画期と見なす時代観は大きく動揺し、再考を迫られてい…

山田康弘『足利義輝・義昭 天下諸侍、御主に候』(ミネルヴァ書房)の感想

『足利義輝・義昭』に何を見出したいと思っていたのか いやあ出ましたね。山田康弘先生による『足利義輝・義昭』!もう発売から2ヶ月経っておいて「出ましたね」も何もないのですが、著者といい題材といいいつ読んでも「出たな!」という重みがある。足利義…

なぜ松永久秀は誤解されていたのか―三悪説話に反駁する

松永久秀は三好政権関係の人脈の中ではダントツの知名度を持つ戦国武将である。久秀のみがメジャー武将と言っても過言ではないほどである。これはやはり戦国時代の超メジャー人・織田信長と関係を構築したため、その関係性がフィーチャーされる機会が多いた…

「1565年6月19日付フロイス書簡」に見る永禄の変

さて、先ごろ『フロイス日本史』に見る永禄の変への道 - 志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』という記事を製作し、永禄の変への経過について何があったのか、考察を加えた(この記事の前提ともなるので、是非ともお読みいただきたい)。その時は『フロイス…

足利義輝側近・一色藤長と三好氏

去年『戦国遺文 三好氏編』の補遺ページをざっと見ていたら、ある書状が目に入ってきた。固より古文書など読めるわけがないが、「石力」「入魂」「(一色藤長)」などの文字が見え、どうやら石成友通と一色藤長が親しい関係にあるらしいことは何とか読み取れ…

『フロイス日本史』に見る永禄の変への道

永禄の変とは永禄8年(1565)5月19日、室町幕府将軍足利義輝が三好義継、松永久通、三好長逸らの襲撃を受け殺害された事件である。戦国時代の足利将軍は影が薄い存在のようにも捉えられがちだが、この事件は織田信長上洛のきっかけとなっただけに知名度も高…

細川氏綱の実名について―「氏綱」って何やねん論

不肖ながら私が細川氏綱という人物について詳しく調べ出したのはここ数か月の話にすぎない。が、この人物の名前は10年以上前から知っている。中学の頃歴史手帳を買っていたことがあり、それには付録として室町幕府歴代執事・管領表が付属していたからだ。歴…