志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

織田信長は四国政策を「転換」したのか?―本能寺の変四国説と四国の織田方勢力

 令和8年7月初頭現在放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』ではいよいよ本能寺の変が起ころうとしている。本能寺の変と言えば、天正10年(1582)6月2日に明智光秀(惟任光秀)が主君織田信長を本能寺に襲い横死に至らしめた事件で、一般知名度も非常に高い。その一方で、光秀が信長を殺害するに至った「動機」については、当の光秀が変の12日後には敗死してしまうこともあって謎に包まれている。すなわち、過去の歴史創作でも光秀はなぜ信長を討ったのかを描くことが腕の見せ所でもあった。
 『豊臣兄弟!』で注目されるのは、光秀の動機において四国説と呼ばれる学説を有意に描こうとしていることである(たぶん)。四国説というのは光秀の動機に織田政権の四国政策が関わっているとする学説だ。従来織田政権は阿波の三好氏と敵対し、三好氏を叩くために土佐の長宗我部氏を支援していた。この時、織田政権の中で長宗我部氏との取次であったのが光秀であった。しかし、天正9年後半になると、信長は三好氏の支配を復活させるのと同時に三男信孝を三好氏の継嗣としようとする。この結果、長宗我部氏は織田政権の与党から敵へと180度変わってしまい、取次にあたってきた光秀の立場も悪化した。天正10年6月には信孝を大将とする四国攻めも始まろうとしており、追い詰められた光秀は信長を討つことで一発逆転を図った…というのが四国説の大まかな主旨である。
 四国説は平成26年(2014)に「石谷家文書」が発見されたことでさらにピックアップされることになった。「石谷家文書」には四国関係文書が多く含まれており、本能寺の変直前の長宗我部氏と光秀方のやり取りが克明に判明したのである。光秀が四国政策の転換と実際の長宗我部氏取次の任の間で板挟みになっていたのは事実であると認められ、現在では本能寺の変の有力な要因とまで行くかはともかく、その一因としての四国説はほぼ確実視されるに至っている。その点で言うと大河ドラマで取り上げられるのは画期的とは言える(もっともエッセンスとして取り上げたことは過去にもあった)。
 ただし、いわゆる「四国説」はここ10年の研究動向を見てもさらに深化している。一口に四国説と言ってもそれが示す人間関係や意図は「同じ」ではないのだ。例えば藤田達生氏は古くからの四国説論者であるが、四国説に羽柴秀吉と光秀の派閥抗争をリンクさせる。すなわち、光秀は重臣の斎藤利三を通じて長宗我部氏と姻戚関係を結び、それが取次を担う背景にもなっていたが、秀吉は甥の秀次を三好康長の養子に送り込んでおり、四国における三好・長宗我部戦争とどちらを織田が支援するかという問題には秀吉と光秀の対立があったというのだ。ただ、現在では秀次の三好康長への養子入りは天正10年6月以降とされており、それを遡らせて秀吉と光秀の派閥闘争を四国説と絡める見方はほとんど認められていない。
 今回この記事を急に書いている理由も、大河ドラマの感想における「四国説」に微妙な違和感があったからだ。四国説では織田政権の四国政策の「転換」を基調とする。織田政権が入れ込む先が長宗我部氏から三好氏に変わったため、光秀の立場が悪くなったのである。ならばなぜ、入れ込む先が長宗我部氏から三好氏に変わったのか?この経緯をかつての四国説は次のように説明していた。織田信長は長宗我部元親に「四国切取次第」(攻め次第に奪い取った領地は自分のものにして良い)という朱印状を与えていたが、いざ元親が四国を制覇しようとなると、今度は長宗我部氏の強大さを警戒し、滅亡寸前の三好氏を推すことでバランスを取ろうとした云々。要するに信長が一方的かつ勝手に約束を反故にしたという話になっている。また、「石谷家文書」所収の近衛前久書状には信長に長宗我部を讒言した者がいたことが記されているが、讒言者としては一条家・西園寺家などの四国に権益を持つ公家の関係者や三好康長、松井友閑が想定されている。いずれにせよ、「転換」には内外からの強制力が働いているとする解釈になる。
 織田政権はそれまで通り、長宗我部氏の四国平定・統一を認めるべきであった、しかしそうはしなかったため本能寺の変へと繋がったのである…。そうした前提意識が大河ドラマの感想に見える「四国説」には見え隠れする。しかし、天正9年における四国政策の変更はそこまでドラスティックなものであったのか、あるいは長宗我部氏にそれまで通りの「四国切取次第」を認め続けることが「可能」であったのか、讒言者が行ったのは本当に「讒言」なのか―実はいずれも最新の四国説では違った見方が示されてきている。ということを以下、紹介していくのがこの記事の主旨である。キーワードは阿波・讃岐の国衆・国人の動向である。

続きを読む

ウマ娘 プリティーダービー 7th EVENT WORLD TOUR「THE STAGE」 in TOKYO〈DAY1〉に行ってきた!

 ウマ娘もグローバル展開が波に乗り、今年の新シナリオもアメリカのブリーダーズカップ挑戦がテーマになった。そして7thライブはいよいよワールドツアーへ…!とは言うものの、流石に国外に出たことが一度もない貧乏人とあっては海外遠征など夢のまた夢なわけで、目前でやってくれること言えばいつも通り関東開催ということになる。時期的に見送っても構へんか…という軽い気持ちもありつつも、今回もサクラチヨノオー/野口瑠璃子さんが出てくれるというので、チケット抽選に参加してみたところ、まさかの一発当選ということで今回も無事現地参戦の運びとなった。
 遠征費をケチって高速バスを使うのは前回で懲りたので今回の往路は新幹線。そのおかげで途中に名古屋に立ち寄って別の用事を済ませたりできたので結果的には正解だった。ただし、梅雨時なのもあって現地は基本的に大雨。豪雨状態の時もあってゆったりと周辺で時間を潰すというわけには行かず結局余裕がないままだった。ただそれでも見た限りでは相変わらず様々なウマ娘推しのトレーナーが確認できた(当日の出走者にはいないウマ娘のタオルで身を固めた人も珍しくはなかった)。一方で目立つコスプレ勢はそこまでおらず、流石の大雨でそこまで準備できなかったのかもしれない。
 有明アリーナも初めてだったが、見たところライブ会場としては特筆することもない。同じ臨海地域でも幕張メッセの方が海を感じられたし、さいたまスーパーアリーナの「聖地」感もなく…雨でなければもう少し発見があったのかもしれないが。
 着席してみると、ステージ向かって右の最後方。これは…ハズレでは…?前の方ほどの一体感もなく、離れていても上の方の席ならば俯瞰的に見られるが、これだとただただステージから遠いだけだ。実際、基本的な動きこそ視認できたものの、演者の細かい表情までは全く見られなかった。上の席だとトロッコで近いところまで来てくれるのが望めたが、ただ後ろだとそういう恩恵もない。現地にいられるだけマシと言うしかない。
 ちなみにすぐ右横の男女の組み合わせが今年大学1年生になったばかりらしく、特に男の方が中2でタキオン推しになったことを熱く語っていて、中2でタキオン!?という早熟さとあふれんばかりの若さに気絶しそうになった…。

 とりあえずは順番通りに感想をば。

続きを読む

【ネタバレ有】『黒牢城』感想

※この記事中には映画の内容に関するネタバレを大いに含みます。初視聴の驚きや感動を体感したい方にはおススメしません。

 昨年以来ミステリーをよく読んでいるわけだが、ミステリーにも色々ある。舞台が現代とは限らないし、SFやホラーといった本来的に推理とは相性が悪いような他ジャンルと見事に融合した名作も多数だ。そうした中の一つにあるのが歴史ミステリー…と書くと歴史上の謎を解き明かすジャンルになってしまうが、あの著名な歴史上の人物を探偵役・ワトソン役に据えて難事件を解決させる、そういう作品ジャンルは確かに存在する。
 そういった作品の中で気になっていたのが米澤穂信『黒牢城』。何とこの作品、有岡城に幽閉された黒田官兵衛が安楽椅子探偵となり、城主荒木村重から持ち込まれる城内の怪事件を解決していくというあらすじ。しかも発行されたのが令和3年(2021)と最近かつその後多くの賞を総なめするベストセラーとなった。そしてこのたび映画となり、ミステリーファンとしても歴史オタクとしても気になっていた本作、読むならこのタイミングしかあるまいとなったのだった。

続きを読む

令和8年上半期競馬日記

 
monsterspace.hateblo.jp


  • 1月18日 日経新春杯(GⅡ) 単・複8 100円×2→0円

 今年も年明けに園田に行こうと思ったが別の用事で行けず、めぼしい馬が出るまで馬券スルー状態に。晴れてヤマニンブークリエが出走したので応援したが特に見せ場はなかった。

  • 2月1日 シルクロードステークス(GⅢ) 単・複6 100円×2→540円

 評価を落としていたヤマニンアルリフラだが今回は追込を見せて3着に入り込んだ。ここからまた上がっていってほしいが。

  • 2月10日 東京新聞杯(GⅢ) 単・複8 100円×2→0円 単・複9 100円×2→0円 枠連4-5 100円→0円

 週末が大雪だったため中央競馬の重賞が平日開催という異例な競馬に。サクラトゥジュールとヤマニンサルバムを応援したが9着と16着で振るわなかった。もっとも最後まで塊になったままだったので9着という結果ほど悪くはなかったが。サクラトゥジュールももう9歳、まだ走るもんだろうか。

続きを読む

苫小牧・ノーザンホースパークに行ってきた!

 競馬界にハマって以来、牧場見学にいつかは行くということは悲願になっていた。ただ、関西圏から引退馬などがいる場所に行くにはそれなりにハードルがある。北海道へは基本は飛行機だしそうなると夜行バスや新幹線と違ってグッと値上がりするし、まとまった休みも必要だ。そうした中ちょっとした臨時収入の機会があり、個人的にもある節目を迎えた。そうであれば、今がその機会なのではないか。2月から計画を立て始め、出たとこ勝負だったが、上手いこと色々な要素を組み込むことができた。旅行期間は5月最終週。ちなみに1週間ずれていれば台風で飛行機が飛ばなかったかもしれない。そう思うとなかなか幸運ではあった。
 まず初日は朝早くから関空で飛行機に乗り新千歳まで。飛行機に乗るのも高校生以来だから20年弱ぶりになる。色々緊張したし、気付けば機内で手に汗握ったりしていた。飛行機事故で死ぬ確率は自動車事故より圧倒的に低いとはいえ、ちょっとした気流で鉄の塊ががたつくのを体感すると、大空の中での人という存在の小ささを実感する。
 さて、初日は新千歳についた時点で正午は回っていたし、バスで苫小牧に着いた時にはもう2時前。ここからノーザンホースパークを楽しむのは無理なので苫小牧をぶらついていた。北海道というと別世界なイメージがあったが、苫小牧は意外と普通だった。目立って内地と違うのは信号が縦についていることと舗装されている道路がボコボコなこと、玄関が二重になっていることくらい。樽前山神社の境内には鹿がうろついていたが、まあ鹿は奈良でもうろついてるしな…。
 苫小牧という町は栄えてるわけでもなさそうだが寂れているわけでもない。一通りのチェーン店があって驚いたし、JRの駅には自動改札機があるだけ四国より明確に上だ。とは言え、このチェーン店の並びに「未来」があるのかと言うとそうでもなさそうな塩梅。どこまで行っても風景が「郊外」なのだが、「郊外」に対応する中心があるのか?という妙な空虚さを感じてしまう。もっとも旅行者があれやこれや言うことでもないが…。

続きを読む

【ネタバレ有】『アギト―超能力戦争―』感想

※この記事中には映画の内容に関するネタバレを大いに含みます。初視聴の驚きや感動を体感したい方にはおススメしません。

 『仮面ライダーアギト』もとても思い入れのある作品だ。『クウガ』に熱を入れて視聴していた流れをそのままに視聴を始めたわけだが、グロンギとはまた違うの怪奇のアンノウン、メカクウガとして開発・実装されたG3、世界観の謎を大きな軸とした大河的ストーリー構成、これらを支える魅力的なキャラクターの掛け合い、戦闘時に流れるカッコいい挿入歌などなど、ヒロイック・ミステリー・コメディを大幅に進化させた作風にすぐに夢中になった。メインとなる仮面ライダーも3人に増え、全体的に陽性ながら過去が謎な津上翔一、ただただ可哀想な葦原涼、G3装着員ながらあまりにも不器用が過ぎる氷川誠とそれぞれ話を引っ張るキャラ立ちもあり、彼らが正体を隠しながら関わるようで関わらず、でも少しは関わるようなストーリー展開は、歯がゆさもありつつも「次はどうなるんだろう」というワクワク感を強く牽引していた。
 一方で『アギト』には微妙な感情もある。リアルタイムで最終回まで観たわけではあるが…当時は結局何の話だったのかよくわからなかった。謎がワクワク感を牽引し次回が気になるのと同時に、それらが「わかりやすく」回収されることはなかった。謎の青年や沢木哲也(本物の津上翔一)、アンノウン、OPに出てくるイコン画…どれも気になることだらけだったが、作中ではそれらの人物同士がそれっぽい会話を交わすだけで、主要人物や解説キャラが「ああ!そういうことだったのか!」と視聴者にもわかりやすく反応してくれることはなかった。また、アンノウンとの戦いもグロンギのようなわかりやすい最強のボスがいてそいつを倒せば全てが終わりという高揚した雰囲気を作れなかった感覚が強い。いや、最終回でも地のエルと決戦して倒したはずなんだけど、ストーリーとしてはエピローグに入っていた上にアギトが特攻して「津上ー!」「津上さーん!」して次の場面では1年経ってしまうので、『ティガFO』のグリッターティガVSデモンゾーア並に「???」だった…。リアルタイム視聴では毎回楽しんで観ていたのに、最終回が終わった後の「これで終わり…?」といった消化不良感は拭えなかった。
 もちろん、その後東映YouTubeで無料配信した時に全話を見直したり、その頃には世界観やスタッフの意志などの裏方にも触れていて、改めて発見があったり納得できたことも多かったわけだが…。同時にこの頃には『アギト』は単品で見るものではなく、人外化した人間との共存というテーマは平成ライダーでは『アギト』→『555』→『キバ』の3作の流れで完結するというような気付きを得ていた。これは今でも得心しているのだが、その一方で『アギト』単体での評価にはなっていない。リアルタイム以来の『アギト』の消化不良感は結局平成ライダーに「流れ」を見出すことで解消されただけで、今書いてみて改めて気付いたのだが、結局私は『アギト』自体にはついぞ向き合えていないのだ。
 そうした中、仮面ライダー55周年プロジェクトの一つとして『アギト』の25年越しの正統続編として『アギト―超能力戦争―』が発表された。正直言うと、これにもかなり当惑があった。『アギト』の続編を今また見たいとは全く思っていなかったのだ。そりゃ『アギト』の(精神的)続編とは『555』であり、『キバ』だったのだから…。好きだった『アギト』のキャラクターたちがその後どうしているのかといった興味も『ジオウ』のアギト編がその一端を見せてくれていたし、今『アギト』をやるとして何を求めて良いものか、わからなかった。あえて言えば、わからない中で『アギト』をやる意義が最も気になるところだったとも言えるだろう。

続きを読む

「サラブレッドホースショー ザ・セカンドキャリア」に行ってきた!

 競走馬は経済動物だ。経済の歯車を動かすための家畜であり、その役割を果たせなくなった時に存在価値を失う動物なのである。しかしながら、人間そう単純に割り切れるものではない。特に活躍した競走馬はアイドルでありスターだ。走れなくなったら、あるいは親としての役割が終わってしまったら「死」を賜る…それがどれだけ残酷なことか、人間であれば誰もが心を痛めるはずだ。もっともそういった感情面だけでは競走馬の命を救えるものではない。大型動物の馬は自然に生活できるものではなく、巨大な筋肉を支える食料、世話をする人間と多大なコストがかかる。競走馬としての価値を失った馬であっても結局何らかの形で食い扶持を稼ぐことが求められる。そうした競走馬の「セカンドキャリア」の一つに馬術競技馬という道がある。
 …と述べてみたものの、そんな壮大な動機があるわけではなく、ほぼほぼスペシャルトークショーに釣られてラクエドラゴンホースパーク・伊香立公園まで行ってきたのだった。29日は祝日で空いていたし、福永祐一(調教師)と川田将雅(騎手)のネット動画でよく見た掛け合いぶり、正月に園田競馬場行きがおじゃんになって拝めなかった亜咲花、最近良さがわかってきた紫月杏朱彩さん、ウマ娘ライブでの存在感を今でも思い出せる佐藤榛夏さんと、生で見たい人たちが集まっていたのが大きい。さらにこんなことでもない限り遠く堅田の乗馬クラブや馬術競技鑑賞みたいなチャンスはなかなかないわけだし…。出不精がイベントに行くにはこれくらいの引きがなければなあと行くことに決めたのだった。
 堅田駅からは有料シャトルバスが出ているとのことなのでありがたくそれを利用。JR湖西線はこれまで片手で足りるくらいしか使ったことがないし、堅田で降りるのも初めてだったが、意外とすんなり行けた。ほぼ初体験なので新鮮な分、時間を感じなかったのかもしれない。そうして8時半頃にラクエドラゴンホースパークに到着。ちなみに地図ではホースパークとトークショー会場がいかにも隣接しているように見えるが、ホースパークは坂の上にあるし、交通規制でぐるっと遠回りになっていて、しかもスタンプラリーでは行き来を強いられるのもあってそれなりに歩く。まあこれくらいの運動はしろよということかもしれない。

入口付近でお客さんの相手をしていた(食べるか適当に走るかしてただけ)ポニーちゃん。ハート形の刈り跡がラブリー

 ちなみに到着した頃には曳き馬体験などはすでに締め切っていた。早い…!

続きを読む