今年はウルトラマンゼロ15周年！10周年前後の時もムックが量産されましたが…今回来たのは何と写真集！写真集！！？ウルトラマンゼロ…お前アイドルか？紛うことなきアイドルだったわ…。
それにしても特撮ヒーローでは特写というのはよくありますが写真集というのはやはり特異だと思います（数年前に『ゼンカイジャー』のマジーヌであったけど結局電子版だけだった）。と同時にウルトラヒーロー、特にゼロだと納得感しかありません。仮面、に近い面構成なのに確かに表情があるように見える。そんな瞬間を何度見たことでしょうか。それは時に雄弁で、キャラクター性の強いウルトラマンゼロならではの要素でもあります。どこから切り取っても鋭角的でカッコいいところに表情を読み取れる一瞬―それがカメラで切り取られてまとめられるのは確かにもう「特写」ではないでしょう。アイドルの「写真集」としか言いようもなく…。
そして内容―何と言うべきか、「すごい」です…！ゼロってこんなにワイルドだったっけ？と思えるほどのワイルドさ、男の色気が全編を覆っていて、パラパラ捲ってるだけで眩暈がしそうです。最初のページはお馴染みのポーズも多いんですけどそれが逆にゼロの「凶器」たる素を暴き立てています。初見時に感じたきつさを新鮮に、懐かしく思い出します。そこから『ゼロファイト』時のポンチョを纏う写真となりますが今度はワイルドな肉体が隠されたことによる「愁い」が漂いだします。さらにファイティングスタイルに進むと徐々にキャラクター性が見えてきます。最後にはゼロマントとなりここまで来ると「凶器」は完全に「ヒーロー」になってます。最後はエピローグ的に巨大ヒーローになるわけで、写真集なのに「ウルトラマンゼロ」の歴史を再体験できます。やってくれたな…！
ちなみに所々にゼロや登場作品の紹介ページというムック要素もあります。まあここまで来てゼロを知らないというのも考えにくいですが、要点を掴んでいて良いまとめになっています。ムックでは省かれがちな『ウルトラマン列伝』について触れているのも好感触でヨシ！
そしてもう一つの目玉とも言うべき、宮野真守×岩田栄慶対談ですが、写真集部分に負けず劣らず濃い！彼らはゼロに対して15年間真剣そのものだった演技者なので、ド直球が飛び交います。対談なのに「なあなあ」で済ませている部分が一切なく、サッと目を通せない情報量です…。『ウルトラマン列伝』の思い出やアドリブが出てくる経緯など単純に興味深いことも多かったのですが、ある種感銘を受けたのは岩田さんも宮野さんも自身がゼロを演じることの終わりを認識しているということ。岩田さんはもう40歳を超えてますしスーツアクターとしての引退を意識されるのはわからないでもないですが、宮野は声優としては最大あと30年以上は現役でいられるはず。それでもいつかはゼロ役を誰かに渡さないといけなくなるという考えがあるというのは…ウルトラマンゼロは永遠の存在だということです。宮野が声優として死んでもゼロはヒーローとして生き続けると思ってないとこんな発言にはなりません。お、重い…！私はゼロを愛していますが、ここまでの長期的視点はまだ持っていませんでした…。ウルトラマンが生まれて60年足らず…私の人生もウルトラマンの歴史から見たら一瞬に過ぎないのかもしれない。そんな目線でゼロを今どう生かしていくか考えてゼロを作っている…敵いませんね。ウルトラマンゼロ、お前こんな幸福な男だったんだな…。ありがとう…。
そういうわけでこれだけの内容が税込2970円なのはどう考えても安いと言わざるを得ませんが、ちょいちょい気になることも…。ゼロの写真集なんですけど、被写体のゼロの中の人は岩田さんなのか？いやここまで来て岩田さんじゃないことある？とは思うんですけど、どこにも記載がありません。無駄にもやもやするな…。あと、やはり写真集として見ると若干殺風景すぎるのは気になるところ。「特写」ではなく「写真集」とは言いましたが、基本は背景の色を変えるかどうかで合成も少なく、ここはもう少しバラエティさがあって良かったと思います（『ゼロファイト』2部的なスクリーンプロセスで撮ったっぽい箇所もあるので、ここをもうちょい使っても良かったんじゃないか）。あと、これはまあ些事ですが、武器ではウルトラゼロディフェンダーだけ写真がありません。…まあゼロディフェンダーはちょっと安っぽい見た目なのでカッコつけてもカッコ良くならなかったのかもしれませんが…。
まあそんなところもありますが、ウルトラマンゼロの15周年はすごい！これだけ覚えてもらえば得しかない！今後も活躍を期待したいですね！
※過去のゼロムック本レビュー
monsterspace.hateblo.jp
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