志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

『ウルトラマン大図鑑 NEW GENERATION -ゼロ-』(玄光社)感想

 ウルトラマンゼロ15周年はまだまだ終わらないぜ!と言いつつ、今回のムックは15周年に合わせてはいるものの、厳密にはニュージェネレーションシリーズの先駆けでもあるポジション。「ウルトラマン大図鑑」の「NEW GENERATION」の「ゼロ」というタイトルだし。まあ何にせよ、ウルトラマンゼロのムックという点には間違いなく…気付けばゼロのムックももう何冊も出ているわけで、今回の一押し!は何なのか…レビューしていきましょう!

※過去のゼロムック本レビュー
monsterspace.hateblo.jp
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 図鑑を押し出している通り、作品に登場したキャラのビジュアル重視で三面図や技などを網羅しています。ゼロシリーズはリアルタイム時から付き合っているのでこれらは超全集シリーズでも馴染みのあるものですが、今や超全集が出ていない上、超全集より大きく掲載されているので、今回のムックにも大いに価値があると思います!超全集や既存のムックとの違いで言うと、メイキング写真やイメージボードにも新出のものが出ていて、その点でも飽きさせないですね…。まだネタあったんだ…すげえな…。
 ムックとしての目玉は坂本浩一アベユーイチおかひできというゼロ作品を撮った3監督のインタビューでしょう。もちろんこれまでのムックでもこのお三方は登場していますが、これまではゼロというキャラが軸だったのに対し、今回は作品を深掘りしていくという違いがあります。作品の狙い、苦心、成果などが10年以上経った今だからこそ赤裸々に語られている部分もあります。
 特に衝撃だったのが『ウルトラマンサーガ』。『サーガ』は事前のキャスティング面の不安を覆して、このキャスティングだからこそという作品に仕上がっていて、評価が高い作品です。ただ、個人的にはそれでも拭いきれないものも感じていまして、その一つがハイパーゼットンギガントとの戦いの舞台が荒野であること。どう考えても日本列島にこんな場所はない…しかしチームUも駆け付けているので関東地方から遠く離れた場所ではない…。市街戦ができないからってこれはちょっと無理があるのでは?と常々思っていたわけで、それでも風の噂で干上がった霞ヶ浦のイメージらしいというのも聞こえてきて、ますます無理があるだろ!そこまでして荒野にしたいか!?くらいまでなっていたわけですが…。今回のおか監督の証言で、『サーガ』で征服した地球は海が干上がてしまっており(戦場の荒野は本当に干上がった後の海だった)、ラストで海が戻ってくる構想だったのが、震災を受けて最後に海が戻ってくる映像はどうなの?ということでおじゃんになり、でもその頃には戦場が荒野なのは動かせなくなっていた…。別にこれで作品における謎荒野が腑に落ちるわけではないですが、それでもそういう事情があったのがわかれば、視聴者としては腑に落ちるので、13年越しにわかって良かった。他にも2012年1月に追加撮影したとか悩んだ時に謎の爺さんと遭遇したとか怪獣チョイスの変転(「ウラン」怪獣なのでガボラはアウトはまあわかるとして、原典で石油コンビナートを破壊してたからタッコングアウトは今から考えると厳しすぎる!)とか『サーガ』にまつわる話だけでプロジェクトX1本できる勢いでした…。
 玩具図鑑と称して、ゼロシリーズ時の玩具を網羅しようとしているのも新しい試みです。ソフビが三面図まで掲載されているので、今から見るとこの頃はちゃんとソフビの背面も塗られてたんだなあ、そういえば当時シャイニングゼロとゼロダークネスのソフビは背面に塗装省略があって荒れたんだっけとか懐かしいですね。ゼロシリーズはTVシリーズではないので玩具企画などが振り返られることもなかったので、その点での資料性があるのも注目でした。カプセル怪獣の変形玩具企画があったのは驚きですねえ。ある意味『ウルトラマンオメガ』のメテオカイジュウのルーツっぽくも見えてタイムリーだ。ウルトラエッグについてはノータッチでしたが、続刊で触れるのかな?
 つまるところ、図鑑本としては手堅くまとまっていてシリーズとして期待が持てますね。続刊があるとしたら『ギンガ』から3、4作目まとめてになるんでしょうか。ニュージェネ初期シリーズにも色々な曲折があり、メイキングも玩具企画も今だから見せられる新しいものがあると確信しています!

追伸 ジャンキラーとジャンナインは目の色しか変わってないので片方の3面図が省略されがちですが今回もジャンキラーだけでした…。ナインの3面図は『ギンガ』編に期待か!?
追伸2 登場怪獣は全網羅できたかと思ったら、『ゼロファイト』のファネゴン人だけなし。惜しかったね…
追伸3 各章の扉のキービジュアルがわりとバラバラ(『銀河伝説』は本ビジュアルなのに『銀河帝国』は第2弾のキービジュで最終版じゃない)なのだがそのおかげで『ゼロファイト』のビジュアル扱いで『ウルトラマン列伝』が出られている
追伸4 アベ監督へのインタビューでわざわざキングシルバゴンを出した理由(スタッフの推薦に従っただけ)を活字化したインタビュアーにはGJと言いたい