志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』感想

 近年出番が少なかったウルトラマンたちが一気にフィーチャーされ、新たな敵アブソリューティアンが登場し、まさかの起承転結の起でしかなかった『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』から1年4ヶ月…。ついに続編『運命の衝突』が「TSUBURAYA IMAGINATION」にて全10話独占配信されました。…間隔かなり長くなかったですか?ちびっ子だとウルトラマンを卒業してしまっている子も結構いそうで心配になる間隔ですが…。

※前作『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』の感想
monsterspace.hateblo.jp

 さて本作では配信前にアブソリューティアンが新たにディアボロティターンが登場すること、前作ラストで拘束されていた戦士がウルトラマングロスという新ウルトラマンであることが明かされ、前作の物語がさらにパワーアップしていくことが示唆されていました。その一方でPV等を見ても今回でアブソリューティアンとの戦いが決着といった感はなく、起承転結で言うと承、転あたりの位置になるという予想でした。そういう意味では前作は完結しなかったことに落胆もありましたが、今作は完結しないだろうと事前にわかっていたのは良かったかもしれません。
 また、今作はウルトラマンUSAやネクサスといったメンツも参戦し、後述するようにユリアン救出チームが混成になったように単なる一作品どうこうではない大きな狙いが見えてきたと思います。どうしても監督の坂本監督がヒーロー出したがりといった面があるのでそっちに収斂されがちですが、流石に監督の一存だけで今回の着ぐるみ新造を伴うUSAや設定を持って回るようなネクサス登場に至るとは考えにくく、監督の性向もあるでしょうが何より円谷プロの方針があるのではないでしょうか。それは何かというと、ウルトラマンをいつでも誰でも使えるようにするということです。当然ですが各ウルトラマンは映像作品によって様々な設定や背景を背負っていますし、このウルトラマンといえばあのスタッフ!という連関が強く発生しているウルトラマンもいます。そうしたある種の「縛り」はそのウルトラマン特有の魅力でもあることは言を俟たないでしょうが、今後もキャラクター商売をしていくのなら適度にハードルを下げていくことが必要となります。「この設定を抑えておけばとりあえず誰がスタッフであろうが出すことが出来る」状態に持っていくということですね。そして大雑把にキャラを抑えてアクション含めて差別化できる坂本監督はまさにそれにうってつけの人材とも言えるでしょう。
 そしてユリアン救援隊はその実践のお手本ですね。前作でこのウルトラマンはこういう特徴があるとはっきり示せたメンツを一定の意図でチームにすると新しい魅力を引き出すことができる。これを示すためのものだったのだと思います。『ギャラファイ』シリーズは英語圏でも配信されているので当面はアメリカでの活動歴も長い坂本監督が手掛けるかと思います(坂本監督はもう国籍的にはアメリカ人だしね)が、行く行くは全く別の監督でも似たような作品は作れるようになるし、TVシリーズでの客演もチョイスの幅が広がっていく、そういう未来を目指しているように感じました。
 前置きがやたら長くなりました。本作は前作のように3部構成ではないので、キャラクターに注目して項目ごとに感想を述べ、最期に総評することにします。

ウルトラマンリブット

 『ギャラファイ』シリーズの主役の一角…ですが、今作ではそこまでではなかったかも。ギャラクシーレスキューフォースのボイスドラマや『トリガー』への客演でキャラクター深化があり、今作はあくまでのそのサブといった感じでしょうか。その中でもティターンとのライバル関係や仄かな友情、ネクサスの攻略、他のウルトラ戦士を庇って失踪と見所は多かったですが、今回のリブットはウルトラリーグとはほぼ無関係なので今後どう動かしていくのかは見えにくくなったかもしれません。

ウルトラマンゼロ

 前作ではウルティメイトシャイニングゼロという禁忌の重ね掛け形態が登場!した割にいきなり敗戦してしまったため、今回セブン、レオ、ジョーニアスという錚々たるメンツに稽古をつけてもらうことになりました。実はゼロの歴史の中でも挫折→特訓が抑えられてるのって初めて*1だったりするんですよね。『ゼロファイト』1部ではすでに新しい力に思い悩んでいましたし、2部では新たな力が目覚めたところで終わり、シャイニングの力をどう制御できるようになったのかは最近までフォローがなかったので(シャイニングの力をどう使いこなせるようになったのかの一端は「ウルティメイトフォースゼロ~Side Story~」を読んでくれよな!)。内容も「野生を取り戻せ!」しつつオチとしては「誰かを守るために戦うんだ」なので、原点とこれまでのゼロの歴史を並立させる落としどころだったんじゃないでしょうか(あえてウル銀ではなくベリ銀やジードの時のBGM使ってるのが心憎かったですね)。ウルティメイトもシャイニングも『ウルトラ銀河伝説』的な野生味とは違う超越的なものですが、紅蓮のワイルドバーストを経ることでウルティメイトシャイニングを使いこなせるようになるというのは、坂本監督なりに両者を調和的に接続させる象徴になった気がします。
 そうそう、回想シーンの新撮でウルティメイトフォースゼロが久々に登場しました(『ゼロファイト』2部の再現ですがダークネスファイブはもう出せないのでダークネスファイブ不在という…)。ジャン兄弟の着ぐるみなどは着脱に数十分かかると言われている代物ですが、あんな数秒のために全員出すんだからこだわってますね。次は声もあって戦うことが出来るといいですね。ね!!!
 ところで坂本監督によるファイナルウルティメイトゼロは『10勇士』以来、銀の弓が全部飛んでいるという間違った演出でなされている(『ベリ銀』・『サーガ』をよく見ればわかりますが左手の手元にウルティメイトゼロ状態の時は胸についているパーツが残るのが正しい)のですが、今回ウルティメイトシャイニングゼロのファイナルウルティメイトゼロも相変わらず間違ったままで、一方ウルティメイトシャイニングがファイナルウルティメイトゼロを使うのは初なので、一概に間違っているとも言えず…、結局坂本監督の中ではどのように処理されているんですかね?

ウルトラウーマングリージョ

 初登場の『絆のクリスタル』ではこのタイミングで女性ウルトラマンを出しても今後使っていけるのか?と思っていましたが、彼女ももう完全に『ギャラファイ』シリーズのレギュラーで、『R/B』以降の展開だと兄貴たちより活躍多いくらいですね…。私はあまり『R/B』でのアサヒやツルちゃんの動きには納得行っていないのですが、過去はもう覆しようもないので、ツルちゃんから受け継がれアサヒで発現したウルトラウーマングリージョが有意に動いていくことが、彼女らの存在意義を確保していくことになると考えているので、いい出番が続いているのはうれしいですね。特に今回同じ妹キャラであるギナ・スペクターと因縁を持たせて「グリージョ」の名を教えたのは、まさしく私が不満に思っていた点を突くものだったので満足感がありました。

ウルトラマンレイガ(+ニュージェネレーションヒーローズ総合)

 混成チームのはずのウルトラリーグがニュージェネ集めになってしまったのは残念でした。レイガを出したかったとはいえ、ニュージェネ集結は『ニュージェネクライマックス』以降はやらなくてもいいと思ってるので。ただ、ニュージェネもそれぞれの主役作品終了後何回も客演の機会があってそのたびに色々やってるので、総合すると今回はネタ切れと余裕の両方を感じました。例えば『ギャラファイ』の1作目では無理矢理全部のタイプチェンジを出していたので、出ただけのタイプがあったりして必ずしも出した分だけのタイプを魅せられていない感じがありました。かと言って『ニュージェネクライマックス』のように最強形態以外タイプチェンジしませんだとほとんど個性を生かせていないじゃんとなってしまいます。今回はその点のバランスが良く、欲張って全部出そうということも必要最低限しか出ないということもなかったかと。また、トライスクワッドと加えてチーム戦が出来たのも新しく魅せられたところですね(これも『ニュージェネクライマックス』でやっとけよって部分がフォローされた側面でしょうか)。
 そして…ウルトラマンレイガ。『ニュージェネクライマックス』でのレイガは演出が非常にしょっぱかったので坂本監督はどう演出するか興味があったんですが…まさかの完全再現路線で来ました。つまりしょっぱい演出のままでした…。『ウルトラ10勇士』でのエンペラ星人のように原典の持ち味を生かしつつ坂本アクションを採り入れるのも可能だと思ってたので、ここは残念。相手もギナ・スペクターというレイガを出すに足るボス級だった分レイガも何とかしてほしかった。

ウルトラマンゼアスウルトラマンナイスウルトラマンボーイ

 オーバーなアクションやギャグを披露するゼアスとナイス、宝物がデビルスプリンターで自然にグリージョを怪獣墓場に誘導するボーイ…もう完全にショーのノリだな。と思っていたら、ゼアス・ナイスが「僕たちにも出来ることがある!応援だ!」とか言い出したのはもう突き抜けてて笑ってしまうくらいでした。『ギャラファイ』は正史作品なので、ショーの観客やお姉さんなどいるわけないんですが、今作ではゼアス・ナイス・ボーイにその役割が宛てられたということですね。
 …。
 いやいやいや!ゼアスもナイスも仮にも一作品の主役ウルトラマンやぞ!正気か!?
 坂本アクション自体は結構うまいこと再構成に成功してるのも合わせて、そんなグリージョを応援する観客じゃなく一戦士として扱われてたら良かっただろうになあー。

ウルトラマンUSA(スコット・ベス・チャック)

 前作のジョーニアスと同様のアニメ風着ぐるみが3体製作され再登場を果たしました。ウルフェスで一足先に出たジョーニアスはショー登場も兼ねていたでしょうにそうでもないUSAが3人も新造されるんですから太っ腹ですね。ただ、U40という出自が異なるジョーニアスに対して、USAの3人はM78星雲の仲間ではあるので新造するにしても銀色基調のスーツで良かったのでは?という思いも当初はありました。ただ、実際に動いてみると白さがそこまで気にならなくてこれもこれでアリかなと思えるようにはなりました。英語を交えた台詞というのもウルトラマンの中ではいいアクセントになっていると思います。

ウルトラマンネクサス(ノア)

 まさかの『ギャラファイ』登場を果たしたネクサス(ノア)。しかしただ出したわけではなくて出すために色々策を巡らした形になりました。もともとネクサス(とザ・ネクスト)はノアが本来の姿で、あくまで過渡期の形態なのですが、そうするとネクサスが出る→ノアが弱体化しているということになってしまい、TVシリーズの顔であるネクサスを出すには都合が悪い。今回はそういった面も一括解決してしまおうと、設定を再編してきています。ノアにも目撃事例がある星があり(惑星バベルなんて聖書繋がり&天井へ近づくと裁きがあるなんてすごいネーミングしてきますね)、防衛者としてネクサスがいる。そして、ノアとしての大きな目的はウルトラマンとアブソリューティアンに絆を紡がせることである。だからネクサスだという論理を急に詰めてきてます。ノアの上位者としての演出がベリ銀のそれを意識しているのも心憎いところで、やっぱ今年は『シン・ウルトラマン』も『デッカー』もあるしベリ銀イヤーだろと思うことしきりです。
 これは単なる憶測に過ぎないのですが、ウルトラでの上位存在で誰を重視するかは特定のスタッフによる部分が大きいと思ってまして、具体的には坂本監督だとキング重視、アベ監督や長谷川脚本だとノア重視でNプロのエッセンスが入ってくるという傾向がありまして、そういう前提だったので、今回坂本監督作品ながらNプロのエッセンスを咀嚼してそれとも齟齬しない上位存在性を再定義してきたのは驚きました。神経使ってますね…。
 一方でジュネッスブルーや戦闘形態としてのノアは無理に出さなくても良かったんじゃないのかな…。汎用強化形態化してきた素ジュネッスと違ってジュネッスブルーは燐専用形態のイメージが強いですし、ブルーになる必要性が示されていたとは言えないですしね。ノアに関してもウルトロイドゼロが要素的にはかなりダークザギであるというのは発見でしたが、ノア自体はすでに上位存在としてしっかり演出されてるし、わざわざ戦わせなくても良かったんじゃないか。ここは怪獣と直接やり合うことはないキングとは坂本監督が差異を付けてしまったところなのかもしれません。

ウルトラマングロス(+ウルトラマンレオ・アストラ)

 レグロス周りは突然知らない話が連続的に、しかも具体的に出て来て驚きました。レグロスの仲間たちも着ぐるみがすでにあるので『ウルトラマングロス』で話が深められるのでしょう。今回だけでも特徴的だったレグロスですが『レグロス』を経ての今作再視聴がどうなるのか、新しい仕掛けなのかもしれません。
 坂本監督には珍しく『ギャラファイ』過去2作ではレオ兄弟は直接出て来なかったのですが、その分今作では特にアストラが大活躍でした。アストラがゼロを評して「本当の巣立ち」とか言ってましたけれども、アストラも今作でようやくレオの付属物から「巣立ち」できたような気がします。グロス絡みでは今後もアストラ単独での出番が増えればいいですね(その折はレオキック亜種じゃない単独必殺技も欲しいですね)。

ウルトラマンメビウス(+ウルトラ6兄弟)

 前作ではメビウスインフィニティ―が出なかったのが最大のサプライズでしたが、今回は出ました。こちらもレイガと同じく演出完全再現系でしたが、何よりメビウスインフィニティ―はこれまでの出番が少なく、コスモミラクルアタックも原典ではCGだったので、着ぐるみが動いているだけでも結構な感動があります。
 ウルトラ兄弟といえば、レオ兄弟を含めて全員が声優キャラクターになりました。セブンが森次さん、レオが真夏さんではなくなったのはゼロシリーズからの流れを考えるとやや残念ですが、皆さん御高齢なのでいずれは来る時が今来たのでしょう。声優陣は結構ミーハーなキャスティングに思えたので、声優の色が出過ぎてしまうのではないかという危惧もあったものの、実際に聞いてみると悪くないですね。ジャック兄さんなどはそこまで台詞がなかったのもありますが、わりと皆さん渋めに発声していて、ゼロやタイガからは父親世代にあたる貫禄は表現できているように聞こえました。
 ウルトラ兄弟ももう『メビウス』以来何度も活躍してきていて、今作での活躍ぶりはその差別化の極致で、やたらマニアックな技を組み合わせてアクションが組み立てられていて面白かったですね。

ユリアン救助チーム

 アストラ!アンドロメロスウルトラセブン21!ウルトラマンジャスティス!ウルトラマンゼノン!ウルトラマンヒカリウルトラマンビクトリー!これが何だかわかるか?ユリアン救助チームだ!
 ぶっちゃけこれだけでも『ギャラファイ』本作は価値があったなと。どうせヒーローがいっぱい出るのならこういうここでしか見られないような組み合わせこそが見たかった!しかもネオスやマックスは今回出てないですからね。セブン21やゼノンがピンでも扱っていけるということを示せたのも長い歴史の中では大きいと思います。特にゼノンは『マックス』ではかなり出オチな存在だったので、出世度合いで言えばアストラ以上かもしれません。
 描写的にはツルギのナイトシュートが勇者の鎧版になっていたり、マックスギャラクシーを使うゼノンなどは細かいいいところだった一方で、メロスとタッグを組みティターンと戦ったにも関わらずヴェルザードを使わなかったセブン21は残念でした。そこは使うところでしょうが!何のためにタッグを組ませたんですか。

アブソリューティアン

 ディアボロティターン、一般兵士が登場し種族として一気に賑わった印象があります。エリート然とした司令塔のタルタロス、粗暴・残酷で同情の余地がないディアボロ、騎士然としてリブットとの間に奇妙な絆を育む(?)ティターンと、アブソリューティアンのキャラクターも幅が出て来て、どのような末路を迎えていくのか面白くなってきました。まだ「あのお方」やシルエットのままの女戦士も残っていますし、アブソリューティアンに肉付けがされていくのは楽しみですね。その一方で、ウルトラマン側の人数もやたら多いので、メインが3人だけだと見劣りするのも事実…。特に今回でバット星人やらも倒され、ベリアルやトレギアは離反してしまったので、今後戦っていくには一般兵士ばかりでは厳しい。どういうオチになるのかも含めて注視していきたいですが…次がまた長くなりそうなんだよなあ。

ウルトラマンベリアル・トレギア

 正史では死亡した2人のウルトラマンのアーリースタイルをわざわざ新たなキャラとして引き入れたからには単なる復活枠ではない仕掛けがあるのだろうと思っていましたが、今作でいよいよ歯車が動き出した印象です。特にトレギアはタイガとの絡みで救済の目が見えてきたのは良かった。オリジナルのトレギアは救えませんでしたから、IF展開としてタロウ・タイガと和解するというのは大いにアリでしょう(今から思うとオリジナルのトレギアを救えなかった方がヒーローものとしてはちょっと捻くれてましたね)。ベリアルは…どうなるんだろう。『ゼロファイト』の頃はゼロと何だかんだ戦友のようになるという未来も構想されていたらしいですが、ジードとの間で何だかんだ絆を結んでいくのもアリなのかもしれません。この場合似たような枠にすでにべリアロクがいたりするのも厄介ですが…。それはともかく両人とも平行同位体を連れてきた意義が出始めたので今後の動向が楽しみです。

モンスターズ

 元々『ギャラファイ』での怪獣はあんまりフィーチャーされていませんが、今作はさらに薄かった気がします。序盤のデビルスプリンター暴走怪獣くらいで、後はレギオノイドやダークロプス、アブソリューティアンの一般兵は無双対象でしたし…。メカバルタンやウルトロイドゼロももうちょいアクションしてほしかったかな。今から思うと前作のゼットン軍団は単に無双されてたわけではなく集団アクションもしていたので怪獣の濃度を上げるのに結構貢献できていたのかもしれません。

今後の展望

 思ってた通り、起承転結の承・転としてまとめてきましたし、新登場となるレグロスやアブソリューティアンたちもストーリーを背負うキャラクターとしてアピールできていました。ややマニアックなところを擽ってくるキャラ選出やアクションの組み立ても健在で、前2作で示した『ギャラファイ』とはこういうものというのをいい意味で確立、可能性を広げてきたと言えるでしょう。
 特撮面で言うと、3作続けてきたのもあって登場する舞台が増えてきたのは特筆されるところです。これまでは光の国と荒野系のフィールドが多かったのがマレブランデス跡地や遺跡が並ぶ惑星バベル、磁気嵐がちゃんと舞っているK76星*2や吹雪の惑星ブリザード、序盤トライスクワッドがいた空が海のような星など、宇宙だから出せる多様な空間が揃ってきました。一方で今回はゼロの回想やエピローグのトリガーパートで合成によった地球の市街地戦シーンがあります。TVシリーズでも合成による市街地戦は何度かあり、『ギャラファイ』でも出来るのであれば実現していってほしいところでもありましたが、まだ一定のクオリティには達していないと見えます。今作では短いシーンでしたし、まずはチャレンジングなことを評価して、次回以降のパワーアップに期待したいですね。
 見栄えという点で言うと、映像が美麗なこともあって一部の着ぐるみが傷ついているのが見えてしまうのは何とかならないかと思う部分でもあります。特にジャスティスやセブン21はもう20年ものの着ぐるみな上プロテクター部分は容赦なくボロボロになっていってしまうので目立ちまくりです。ただ彼らを今から新造は…しないんだろうなあ。
 さて『ギャラファイ』のアブソリューティアン対決編(?)とでも言うべき連作も恐らく次で結になるのだと思います。…ただ現時点で次回作の告知はなく、完全新作『ウルトラマングロス』が発表されました。『レグロス』も楽しみですが、『ギャラファイ』次回作がどのようになっていくのかは手掛かりがないということになります。
 最初に述べたように『ギャラファイ』には既存のウルトラマンを出しやすいように再解釈していく、そのために再登場させるという狙いがあると思います。そして、バンダイが過去ウルトラマンのソフビを新しく出すわけです(ネオスとセブン21まだですか?)。となりますと懸案として残っているのは、有名な変身者が出せず適宜召喚か正体不明になりがちなティガ、出身地の地球から滅多に出たりしないガイア・アグルあたりを今後どのように出しやすくしていくかという部分でしょう。今回はガンマフューチャーの能力でTDG全員が戦闘を披露しましたが、やはり「本人」を出してこそでしょうしね。そういうわけで次回作では平成三部作勢が何らかの再設定・再解釈を伴って参戦してくるのではと睨んでいます(ぶっちゃけアグルSVも『ギャラファイ』用だと思ってたのに全くノータッチで驚いています。ショーに出ただけなのにソフビまで出せるの!?)。
 おまけに述べておくと、坂本監督が演出したことのないウルトラマンももうアグルとサーガだけですね。ここまで来たら何らかの手段でサーガも出すんじゃないのかな、というところで私のサーガ観を一つ。『ウルトラマンサーガ』を観る限り、ウルトラマンサーガはタイガ、アスカ、ムサシの3人があきらめない気持ちを1つにした時ウルティメイトブレスレットがそれに応え顕現したウルトラマンです(この経過はすごく長谷川脚本っぽいですよね)。サーガは3人の地球人の意志によって動いているようで、外見的にも能力的にもただゼロとダイナとコスモスが合体すれば登場できるようなウルトラマンではないように見えます。ただし、サーガは宮野声で掛け声を発していますし、ゼロ・ダイナ・コスモスの特徴的なポーズを取ったりもしていますし、「正史」内でもその後のゼロがダイナとコスモスの力を得ているように実際には3人のウルトラマンの合体であるのもまた真です。また、「正史」かは微妙ですが、『サーガ』公開前からてれびくんのおまけDVDやライブではゼロ・ダイナ・コスモスが「合体だ!」というノリでサーガになったりもしているので、ゼロ・ダイナ・コスモスがただ合体すればサーガが登場できるというのはとっくに「現実的な運用」にはなっているということもあります。そういうわけでサーガの再登場の可能性は全体的に見て閉ざされてはいないと思います。あのサーガ本人ではなく、ゼロ・ダイナ・コスモスが揃いウルティメイトブレスレットを使うことで疑似的にサーガを再現という風に出せばいいんじゃないのかな。まあ所詮ファンの個人的な浅知恵ですが(そもそも演出実績を解除、だけなら回想シーンなどで『サーガ』を再現でもいいわけですしね)。
 まあそこはともかくとして、『ギャラファイ』がどんどんやれることは増えていっているわけで、アブソリューティアン絡みの話が一段落しても続けていってほしいのは心底そう思っているので、今後も面白いように動かしていってほしいですね。ゼアスやナイスも今回のような扱いと原典での主役ぶりを懸架できるように上手く考えてほしいですしね。

*1:『ウルトラ銀河伝説』で追放→特訓があるから「初めて」ではないかも…細かいことは気にするな!

*2:過去の列伝などで出てきたK76星っぽい惑星は磁気嵐をカットしていた