ウルトラ怪獣という存在は実に多様だ。超巨大な野生生物、人間の行き過ぎた文明・科学が生み出した怪物、妖怪変幻の類、宇宙人が使役する生物兵器・ロボット…。その生態も火を吐くもの、冷凍光線を吐くもの、金や真珠を食べるもの、地底・海底から出てきたもの、宇宙から襲来するもの、果ては人造物と生物が合体すたもの…様々なものがありあらゆるパターンが初期シリーズに登場して礎を作った。こうした多様さは映画スターとしての東宝怪獣や統一敵組織の部下であることが多い等身大ヒーローの敵対怪人とは一線を画す、間違いなくウルトラマンシリーズならではの財産だ。
そしてこの多様さはウルトラマンシリーズが一話完結スタイルであることにも支えられてきた。その1話の中でどのような怪獣が現れ、どんな事態を巻き起こし、それがどのように解決されるのかがウルトラマンのフォーマットだ。もちろん人間ドラマがメインで怪獣が添え物なことも珍しくはないが、それでも怪獣を倒すことがストーリーの解決に繋がるという大筋を多くの話が持っており、それは現在に至るまで変わることがない。
その一方で、時代性というものも存在する。大怪獣バトルシリーズ以降、ウルトラマンシリーズでは怪獣の着ぐるみをそのまま使い回すようになった。ストーリーよりも既存の怪獣をどのように登場させるかが先立つようになったのだ。大怪獣バトルでは基本的にウルトラ怪獣はレイオニクスと呼ばれる怪獣使いの使役対象で、ストーリーを背負う存在というよりはバトル展開を担当する存在へと転化していった。
その後この方式はニュージェネレーションシリーズ第1作『ウルトラマンギンガ』をきっかけに洗練されていくことになる。『ギンガ』ではスパークドールズと呼ばれる、歴代ウルトラマン・怪獣がソフビ人形の姿に封印されたアイテムが登場する。作中人物はスパークドールズを使ってその怪獣・ウルトラマンへと変身して戦うのだ。その後もフュージョンカードやウルトラカプセルなど、歴代ウルトラマン・怪獣の力を秘めたキーアイテムがあり、それを用いることでその力を引き出し、あるいは変身し、あるいは召喚するスタイルが定着する。こうして歴代怪獣の着ぐるみ使い回しを作中事情に整合的に昇華させていったのである。
しかし、だからと言って大怪獣バトル以降のシリーズが新怪獣を出さなかったわけではない。もちろんその新怪獣の中にはストーリーを背負って新しく出現する怪獣も多かったが、歴代怪獣の力を持つキーアイテムがある以上、新怪獣も基本的には歴代怪獣と同様の方法で登場することになる。そうするとメタ的には新怪獣になるにも関わらず、作中的には「あ!あれは〇〇!」と既存怪獣のように説明されることになるのだ。新怪獣なのに何を背負っている怪獣なのか、どういう存在なのかわからないということになるわけだ。
ただ、ここで取り上げたいのはもう少し話が込んでいて、既存怪獣の亜種的存在が新怪獣として出る場合。例えば、マガバッサー・マガジャッパが後に原種となる怪獣が登場したり、ホロボロスの生態が別シリーズで掘り下げられたりと、完全な新怪獣にはその後フォローされるチャンスはある。それに対して、既存怪獣のマイナーチェンジが新怪獣として出ると、たいていは既存怪獣に依存しながらも、なぜそれがどのような亜種なのか説明が必要にも関わらず、全く説明されないということも多いのだ。この記事では「何なんだよコイツ!」を主に突っ込んでいきたい。
- EXゼットン(『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』)
ウルトラマンキングがギガバトルナイザーを封印した怪獣墓場の炎の谷で番人をしていた怪獣。おそらくキングが置いていた怪獣なのだろうが、なぜEXゼットンだったのだろうか…。そもそもEX~がつく怪獣は初登場のゲーム『ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth』で元の怪獣がメフィラス星人に改造されて登場したものだが、その後大怪獣バトルに輸入されるにあたって、レイオニクスが覚醒した際のパワーアップ形態として位置付け直されたものだ。ただし、EXゼットンは大怪獣バトル段階で初登場したEX怪獣で、漫画版ではラスボスも務めていたわけだが、それがどうしてキングの爺さんに雇われたのかさっぱり脈絡が見えないし、キングはレイオニクスでもないのでどこからEXゼットンを連れてきたのかもわからない。EXゼットンがラスボスだった漫画版は時系列的に『ゴーストリバース』より後の話で、ギガバトルナイザーが封印されたのは数万年前ということを見ると、そんな昔からEXゼットンを用意できているのもおかしいと言えばおかしい…とEXゼットンについては謎だらけだ。ここまで来るともはやどうでもいいが、ウルトラマンに使役されるゼットンという点では『シン・ウルトラマン』の先駆けと言えなくもない。
『ギンガ』1話で初登場したのがサンダーダランビア。ご丁寧にウルトラマンタロウまで「あれはサンダーダランビア!?」と言っていたので既知の怪獣らしいが、すみません誰ですか…。そもそも大元のダランビア・ネオダランビアは火星に襲来したスフィアが火星の地表を取り込んで怪獣化したスフィア合成獣だ。スフィア合成獣は他にもいるが、地球や金星の岩石を取り込んで怪獣化するか、既存の怪獣を乗っ取る形で登場した(この特徴は『ウルトラマンデッカー』でも同様)。とするとサンダーダランビアもスフィア合成獣のはずなのだが…。ネオダランビア→サンダーダランビアの変化点としては手の形状や目の数などもあるが最も特徴的なのは電気を発生させるコイル状の器官が背中に出現した点だろう。ということはスフィアがサンダーダランビアになるにあたっては火星の地表とともに何らかの発電機関を取り込んだと見るのが自然になるが…火星にスフィアが襲来した上で人造の発電機関を取り込めるようなタイミングがあったのかというと今一つピンとこない。『ダイナ』最終回後もスフィア残党がいることは『サーガ』『デッカー』でも明らかなのでそういうタイミングがなかったとは言えないが…。と由来を考えていくとどう誕生した怪獣なのかはよくわからないのだった。
- フィンディッシュタイプビーストダークガルベロス(『ウルトラマンギンガ』)
スペースビーストは基本的に始祖であるザ・ワンの細胞から誕生し、地球上の様々な形質を取り込んで怪獣化、最終的にそれら全てを融合した究極のイズマエルへと結実した。そういう由来なので、ザ・ワン~イズマエルの間に登場したスペースビーストが基本的に全てのスペースビーストと言っても良い。…じゃあこのダークガルベロスって何?ガルベロスの暗黒強化種とされていることからガルベロスの亜種のはずだが、そんなビーストが登場する余地が『ネクサス』にあったのだろうか?もちろん、スペースビースト自体は『ネクサス』最終回後も登場し続けているのでそうした中で亜種的な存在が新登場していてもおかしくもないが…。ちなみに製作事情的には当初はただのガルベロスが出る予定だったが、『ギンガ』放送再開最初なのに既存怪獣なのもどうかという意見から、色を変えて最低限新怪獣として見せたいということからダークガルベロスになったらしい。製作側の配慮が新怪獣を生んだはいいが、原典の設定にまでは触れきれなかった例と言えようか(そもそも『ギンガ』7話は出るのが新怪獣かどうかよりも前半を総集編にしてる方がよっぽどか問題だと思う)。
- 超怪獣スーパーグランドキング(『ウルトラマンギンガ』)
元のグランドキングは『ウルトラマン物語』に登場した怪獣で、宇宙の帝王ジュダが多くの怪獣の怨念を結集させて作ったものだ。となれば、スーパーグランドキングはそのグランドキングのパワーアップ版…と思いたいが、実はこのスーパーグランドキング、今に至るまで設定らしい設定がない。その後の『ウルトラファイトビクトリー』ではジュダ・スペクターが使役するスーパーグランドキング・スペクターが登場し、こちらはジュダ・スペクター同様の金色カラーに武装もジュダ・スペクターのような大剣になるなどジュダ・スペクターとの関係も深いことが窺えた。となるとスーパーグランドキングもグランドキング同様の存在である可能性は高いが、決め手も何もない。原典のグランドキングは怪獣の怨念が集ったということで合体怪獣としての側面もあるのだが、スーパーグランドキングにはそういった面も薄い(両腕の武装の由来は不明)。こんなにも謎の存在なのに、いやそれゆえかソフビでは赤く塗られたバージョンが限定発売されたりもしたが、それが素性情報に繋がらないのもある種のこの怪獣らしさなのかもしれない。
またグランドキングか。グランドキングメガロスは美剣サキが怪獣クリスタルの力で変身した姿で、多彩な光線でルーブ兄弟を苦しめた。多芸かつ強豪だったことは間違いないが、どういうグランドキングなのかはスーパーに引き続き不明なまま。もしかするとこの宇宙にはグランドキングは結構色々存在しているのかもしれない。
- 次元凶獣カミソリデマーガ(『ウルトラマンR/B』)
デマーガは『ウルトラマンX』で初登場した、体が鉄でできていて火炎放射してくる古典的な怪獣。『X』作中ではパワーアップした姿としてツルギデマーガも登場している。カミソリデマーガもフォルムとしてはツルギデマーガを踏襲している要素もあるのでデマーガのパワーアップ体…と見るには『R/B』作中での生態が謎過ぎる。まず、こいつは異次元空間に生息しており地球の怪獣ではない。火炎系の攻撃よりも光線や放電、斬撃などを放ってくるし、外見も白目で口も固定されているしメカニックな形状が目立つ。どう見ても自然発生したタイプには見えず、どこかの宇宙人か人間がデマーガを改造した末に異次元空間に捨てた、あたりの方が似合いそうだ。…の割に設定が何もねェーーー!それもそのはずと言うか、そもそもカミソリデマーガはショー用の怪獣がTVにも出そうという試みで出ただけで、そこへの理屈付けは何もなかったのだった。なんてこったい。
- 凶猛怪獣ギーストロン(『ウルトラマンタイガ』)
アーストロンがパワーアップした怪獣で『タイガ』作中では『帰ってきたウルトラマン』1話怪獣同士ながら面識がなかったタッコングとの対戦を果たした。作中では大地の怒りの化身とされ、自然を汚す人間へ復讐しようとしていたが、そこらへんの一般怪獣だったアーストロンの姿を借りてる事情は謎。想像をたくましくすれば爆弾を飲んで爆死した弟・ゴーストロンの復讐とか考えたりもするが『タイガ』と『帰ってきたウルトラマン』の地球は別のものなのでたぶん関係はない。何でこんなにあやふやなのかと言えば、ギーストロンもショー用の着ぐるみをTVにも出したというカミソリデマーガと同じ事情だから。統一性を考えるならギーストロンじゃなくEXアーストロンとかにした方が汎用パワーアップ形態として生かせたのかもしれない。ちなみにギーストロン自体は『Z』や『アーク』にも登場したが、カメオ的登場に留まったこともあり出自へのフォローもされなかった。
- 爆撃雷獣グルジオライデン(『ウルトラマンZ』)
この記事で取り上げる怪獣としては例外的な存在で、説明されないことが逆に不気味な存在。作中では過去に休眠状態で地球に飛来し、そのまま研究対象にされていた怪獣。人為的な改造を施されたことと雌であることがわかっている。しかし、そもそもグルジオ怪獣といえば『ウルトラマンR/B』でお馴染み、戦士の頂で入手できる怪獣であり、美剣サキが変身していた怪獣。となると、グルジオライデンも野生怪獣ではなく変身者がいる怪獣で、それが人為的な処置を施されていると見ることも可能なのである。目を覚まし暴れ出したグルジオライデンはウルトラマンゼットにトドメを刺される前に涙しており、何らかの意思を持っていたのも間違いなく、出自が不明なことが逆に闇を呼ぶものになってしまった。
- 超古代怪獣ゴルバー(『ウルトラマントリガー』)
ファイブキングはゴルザ、メルバ、レイキュバス、ガンQ、超コッヴが合体させられた怪獣、トリプルキングはゴルザ、メルバ、超コッヴが合体させられた怪獣。元の怪獣の選び方に恣意はあるものの後天的な合体怪獣として成り立っていたわけだ。ではゴルバーは…?一応設定上はゴルザとメルバの合体というものはあるが、誰がどうして合体させたのか…?ファイブキングくらいになると色々能力も増えているわけだが、ゴルザとメルバだけでは、地底に潜るにはメルバの翼が邪魔で、空を飛ぶにはゴルザのフォルムは鈍重すぎるという矛盾の塊みたいになってしまう(作中では地底に潜るのも空を飛ぶのも披露してはいたが)。「NEW GENERATION TIGA」にあたって『ティガ』1話怪獣を合体させるという安易さを存在だけではフォローしきれなかった。ちなみにゴルバーⅡはキリエル人が使役していたが、どういう経緯で操っていたのかはやっぱり不明。出自に謎の残る怪獣となった(そもそもキリエル人と超古代怪獣自体も無関係のはず…)。
グビラはニュージェネレーションシリーズでは出番の多い怪獣だったが、海で戦うのは特撮上面倒なのでいちいち市街地に上陸してくることも多かった。それならもう陸上種のグビラを出してしまえというのがオカグビラ。グビラのデザインソースって熱帯魚なんだけど、そんなことが許されていいのか?ちなみにオカグビラになったことで元のグビラからイボが増えたという変更点があるが、ソフビでは色合いが土色になることでバリエーションを表現しており、さらに『ウルトラマンオメガ』に登場した際はオカグビラの姿そのままにグビラとして登場するなど、グビラとオカグビラで何が違うのかは解釈がバラバラ、と言うか結局何も変わってないんじゃないか…。亜種なのに何が亜種なのかわからないという迷走怪獣になってしまった。
- 深海怪獣キングアリゲトータス(『ウルトラマンオメガ』)
アリゲトータスというのは『ウルトラQ』に登場したピーターの種族名だ(ピーターは個体名)。キングアリゲトータスはアリゲトータスの上位種、ということで設定はしっかりしているように見えるが、このキングアリゲトータスの着ぐるみがキングゲスラの改造ということもあって話がややこしくなる(ちなみにこれは『ウルトラマン』のゲスラの着ぐるみがピーターの改造だったことを意識したものだろう)。キングゲスラというのは『超ウルトラ8兄弟』で初登場した怪獣で、何がキングかと言えばスーパーヒッポリト星人に改造された個体だからだ(改造を加えてるのに弱点がそのまんまなのは御愛嬌)。実際、『8兄弟』にはキングパンドン、キングシルバゴン、キングゴルドラスとキング怪獣が続々登場しており、キングゲスラもその1体だったのだ。…あれ?それなら「キング~」ってスーパーヒッポリト星人製の称号なのではないか?実はこの点はキングゲスラから曖昧で、キングゲスラがニュージェネシリーズに出演を繰り返す中、『ウルトラマンX』で「あれはゲスラ!?いやキングゲスラだ!」という台詞があったり普通の天然怪獣としてキングゲスラが何度も現れるなど、「改造個体としてのキングゲスラ」は徐々に「ゲスラ上位種としてのキングゲスラ」に10年以上かけて上書きされていっていたのである。その末にキングアリゲトータスがキング=上位種として登場したわけだが、そもそもがボタンの掛け違いを設定レベルで強弁している面がなくなったわけでもない。そもそもキングアリゲトータス自身も自分の意志で巨大化可能だったりしてアリゲトータス(ピーター)とは生態が違うので、実は宇宙人の改造個体だったとしてもおかしくはない。
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