志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

『ウルトラマンZ&ゼロ ボイスドラマ』のウルティメイトフォースゼロ

 ウルトラマンシリーズにおけるボイスドラマの取り組みは『ウルトラマンタイガ』から始まった。発想元としては『SSSS.GRIDMAN』のボイスドラマがあり、本編の補完などを有意義に行い好評を得たことにあると思われる。近年はウルトラマンシリーズでも有名・人気声優が演じるキャラクターが多く、スピンオフとしては絶好の展開だったと言える。『タイガ』に続き『Z』でもボイスドラマが継続したことは製作側が手応えを感じている証左だろう。
 さて、『タイガ』では主役ウルトラマン3人(トライスクワッド)全員が声優キャラだったこともあり、3人の過去話や本編で出た事象の補完などがなされた。一部、デザイナーの後藤正行氏による描き下ろしイラストも掲載されたものの、ボイスドラマらしく基本的には声だけでドラマが展開した。これに対し、『Z』ではメインキャラクターで声優キャラはウルトラマンゼットだけで、本編と連動するというよりも、ゼットが光の国にいたころの他愛ない話をウルトラマンゼロとの掛け合いで展開するというものになった(また、『タイガ』と異なり、声オンリーではなく、写真を組み合わせることでリアクションを表現することになった)。…ということは、環境として『タイガ』よりもゲストの飛び入り参加が望みやすいということになる。私にとってはウルティメイトフォースゼロの参戦にも期するものがあり、(より一層)注視することになったのである。

  • 第3話「師匠の友達」(作・足木淳一郎)

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 「その時」は思ったより早くやってきた。第5話くらいまでゼロとゼットで基本的な関係を作っていくと思っていたので、3話にしてゲスト参戦は早い!やって来たのはグレンファイヤーで、関智グレンは基本的に出番が多いので、チョイスの驚きはなかったが…。それでも3話にしてグレンファイヤーなのはジャブとして丁度いいものが来たという感触だった。
 ボイスドラマの舞台は原則的に光の国である。と言うことは、グレンファイヤー、引いてはウルティメイトフォースゼロのゼロ以外のメンバーが光の国にやって来たのは、イベントやライブなどを除けば初めてということになって、なかなか画期である。しかもグレンには別に新鮮な様子もないから、何度かすでに来ているのだろう。…ここ、そんなしれっと流していいところか!?(ボイスドラマにそこまで求めるな)
 内容としては、グレンファイヤーがゼットを弟子呼ばわりして(無茶な)稽古を付けるというもの。ゼットはゼロのことを師匠と慕っているのに、ウルティメイトフォースゼロのことは知らなかったらしい(勉強が足りてないな)。
 「ゼロが師匠にねェ~~~」のねちゃねちゃする物言いや「おほっ…落ち着けよ、グレン」の笑いをこらえてる感じは、ボイスドラマならではの技量であるし、2人の悪友関係が窺える。しかし、一番大きくて全てを持っていくのは「茶でもしばきに行こうぜ」だろう。茶をしばく!どんだけ地球の文化に馴染んでたらこんな発言が飛び出すんだ。光の国に喫茶店があるわけ?そもそもゼロも当のグレンも茶を飲むの?(ちなみにグレンは「ロストヒーローズ2」でアイスが食べられないことになっている)「お釈迦様でもご存知あるめえ」とか「卑怯もラッキョウもあるか」に匹敵する謎台詞だろう。ただこれをしれっと言えるのがグレンファイヤーのキャラクターとしての強さではあるんだよな…。
 かくして、3話という早い段階でゼロとゼット以外のメンバーがボイスドラマ出演を果たした。呼べるハードルが低い関智一という点にやや不安はあるが、グレンはゼット相手に師匠気取りだし、グレンだけであっても準レギュラーの準だよな!?…じゃなくて準レギュラーとして出番はそこそこあるかもしれない。何よりゲストがいるというのは素晴らしく、登場への期待は否応なく煽られるのだった。

  • 第9話「鋼鉄の弟さん」(作・足木淳一郎)

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 ジャンナイン!?いきなりすぎるだろう。まず前提としてジャンナインが入野自由の声で喋る機会は相当限られてきた。古くは『ウルトラゼロファイト』第1部のラストでのウルティメイトフォースゼロ集結シーンでもジャンナインの台詞はなかった(ジャンボットもなかったが、グレンに石を投げつけられる箇所に後に声が足されている)し、『ウルトラマンギンガ』でもサブレギュラーだったがずっと無言だった。珍しいところではウルフェス2018のライブでは喋っているが、同公演での入野自由氏はウルトラマンタロウの声も演じており、兼役という事情込みでもあった。そして『ウルクロ』でもジャンナインのみ先生回がなかった。
 そういうところにいきなり入野自由声でジャンナイン登場なのだからたまげた。グレンファイヤーの次に来る人としては意外すぎるチョイスだ。列伝時空にも来たことがないのでどう動かせるのかも不明。さてさて内容は…。

ゼット「もしかして鋼鉄の武人の!?」
ナイン「いや、それは僕の兄だ」
ゼット「エメラナ姫に仕えていたという!」
ナイン「それも兄だ」
ゼット「必殺・風車で有名な!」
ナイン「それも兄だ」
ゼット「あっ、グレン師匠が言ってたヤキトリさん!」
ナイン「いや、それも兄dと言うか!そろそろ一個くらい出てもいいんじゃないのか!僕の情報が!」
ゼット「すっ、すみません…」

 面白すぎる。
 まさかのギャグ時空が展開。ジャンナインが他キャラと絡むだけでも新鮮だが、キャラクターの一面として新しすぎる。さらにゼットは「モロボシくん、というのがあなたですか?」と畳み掛けるが、どこをどうやればそういう発想になるのか。…細かく言えば「鋼鉄の武人」でエメラナ姫に仕えているのはジャンナインもじゃない?と思ったりもする(設定的にはどうなっているんだろう)が、まあギャグなので許そう。「だいたいそのネタ、もう今の世代には伝わらないからな!何年前だと思ってるんだ」も壮大なメタネタだが、まあギャグなので(以下略)

ナイン「僕の名はジャンナインだ」
ゼット「ジャンナインさんというと…あの!」
ナイン「ん?何かゼロから聞いているのか?」
ゼロ(遠巻きから)「おっ!ジャンナインじゃねえか!」
ゼット「はい!確かキングジョーとかと一緒にゼロ師匠たちに喧嘩を売って、最終的にその、泣かされたとか…」
ゼロ「!?おいゼット…お前何言って―」
ナイン「ゼロ…あいつ…」
ゼット「あといつの間にか自分のことを「僕」と言いだしてキャラ付けに苦労してたんだろうなとか」
ゼロ「うおおおい!やめろゼット!」

 色々と酷い。
 ゼットは3話の後、ゼロとグレンからウルティメイトフォースゼロのメンバーについて教えてもらったんだろうが、この2人を介して聞くのはやはりまずかった。偏向的な情報にゼット本人の天然さがプラスされてとんでもない説明になってしまった。怒るジャンナインは赤目ジャンキラーになり、ゼロとゼットを無差別に攻撃するのであった…。
 いやはや、すごいことになりました。まさかジャンナインでこんな供給があるとは…。
 先述したようにジャンナインにはほとんどこれまでキャラクター的な供給がなかった。その埋め合わせのように3分の間にドドドと濃縮したのが来たという感じだ。ネタにされるのも初めてなら、ネタにしていくのも初めて。ジャンボットと間違えられる、メタ発言をかます、キャラ付けに苦労する、ジャンキラーに意識的になることで怒りを表現…こんなことが出来たのか!が目白押しだった。もちろんこれをネタにするのはどうかというのもあるが、ジャンナインはこれまで感情の発露自体があまりなかったので、生き生きしたものが出されたのは素直に尊い気持ちではある。
 それにしても9話でジャンナインかあ。これはミラーナイトやジャンボットの登場にも期待がかかってきますな!

まとめ

 あれ?終わり?何とウルティメイトフォースゼロのメンバーが来るのは3話と9話だけだった(存在に触れる回は他にもあったが割愛)。3話でグレンが来て、9話でまさかのジャンナインで、これはミラーナイトやジャンボットも来ないと嘘だろ!と思っていたので、やや肩透かし感はある(もっとも後半はリブットやメビウスが来て、それはそれでうれしかったけどね)。ただ、それでも得た物は少なくない。列伝・クロニクルと違って、ボイスドラマは公式のものとして今後残り続けるので、特にこれまで不明な要素も多かったジャンナインは「これから」に向けて一つの取っ掛かりを示すことが出来たと思われる。
 今年の令和2年(2020)は『ウルクロ』から始まって、ボイスドラマもあり小説もあり、最後にウルティメイトフォースゼロメインのイベントまであったので、かなり充実していたとは言える。こうなってくると、やはり新規映像作品も…という欲が出てくるもので、『ウルトラギャラクシーファイト』というお誂え向けな媒体もあるので…お願いします!

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