志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

ウルトラマンマックスの出身地論―「M78星雲のどこか」

 平成17年(2005)の夏―家族とともに伯父夫妻の家を訪れ、その際リビングの卓上カレンダーで初めてウルトラマンマックスの姿を見た。当時は中学生だったが、伯父夫妻の息子たち、つまり私の従弟は一回り下の年齢であり、特撮を「卒業」したと言っても、伯父夫婦の家に行くたびに子供部屋に入って玩具をガチャガチャしつつ「今のウルトラマン仮面ライダー)はこうなってるのか~」などと言ったりしていたのだが、まあそれはどうでもいい。大事なのは卓上カレンダーにウルトラマンマックスとともに書かれていた文言である。
 何とそこには「M78星雲からやって来た!」とのコピーが!*1
 M78星雲出身!!!
 やっと、やっとウルトラマンM78星雲に帰ってきたのか…と当時の私は感慨深く思ったもののである。
 私はウルトラファンとしては平成三部作(ティガ・ダイナ・ガイア)世代になる。とは言え、ティガで初めてウルトラマンを知ったのではなく、こいつが最新のウルトラマンだ!と初めて認知したのはウルトラマンネオスウルトラセブン21であった。
 だから、ウルトラマンと言えば赤と銀の巨人であり、M78星雲出身である!というのはすでに刷り込まれていた*2
 しかし、当時はネオスやセブン21で作品は作られることはなく、TV放送が始まったのはウルトラマンティガであった。
 ティガの赤と紫をメインカラーとし、タイプチェンジを行う姿は上記のような刷り込みもあり、子供ながらに衝撃的であった。
 そしておぼろげながら、ティガはこれまでのウルトラマンとは違う!M78星雲出身ではない!と理解していた。
 では、ティガはどこから来たのか?
 初めてティガの出身地設定を見たのはソフビ人形の外箱*3だったと思うが、そこにはこう記載があった。

出身地:不明

 …
 ……
 ………
 いや、不明って何だよ!!!
 子供心にこれは納得できなかった。
 今でこそ、神秘性を高めるため~みたいな理屈は理解できるが*4ウルトラマンの故郷を不明で片付けてしまうのは当時の私にとっては暴挙としか思えず、釈然としないものを感じてしまった。そして、その後の平成ウルトラマンたちの出身地設定も「出身地:地球」、「出身地:宇宙」と「出身地:不明」ほどではないものの漠然としており、私の個人的不満は晴れなかった。ウルトラマンはM78星雲の宇宙人、という設定はある種の呪縛だったのである。平成ウルトラマンはもちろん毎週楽しんで視聴していたが、どうしてもこの点だけは割り切れなかった。
 以上の経緯があったため、マックスがM78星雲からやって来たウルトラマン!というのは本当に感動した!
 やっと、ネオス以来ちゃんとした「ウルトラマン」が戻って来たんだ!*5
 昔の人気怪獣が再登場するというのも気になり、マックスを視聴することにしたのだ(そして、そのまま今に至る)。
 しかし、である。
 公式サイトだったか何だったか忘れてしまったが、マックスの出身地はこう書かれていた。

出身地:M78星雲のどこか

 …
 ……
 ………
 どこかってどこだよ!!!??!??
 M78星雲と光の国、ウルトラの星とは同義であると考えていた私にとって、これもまた新たな挑戦であった。
 M78星雲のどこか!
 敢えて光の国かどうかをぼかす、この態度!
 またも理解が追い付かない。M78星雲出身というワードはそれまでのM78星雲出身のウルトラマンと連続性をなすものである!と思っていたので、これもまた不可解としか言いようがない。
f:id:hitofutamushima:20180803211811p:plain
 マックスには仲間のウルトラマンとしてゼノンも登場したものの、こちらも「出身地:M78星雲のどこか」。
f:id:hitofutamushima:20180803215905p:plain
 『マックス』16話ではマックスの走馬灯として、その故郷と思しき風景も画面に映ったが、これでもやはり「M78星雲のどこか」。
 なぜ「M78星雲のどこか」などという表記になったのか。これには『マックス』が初代ウルトラマン的な番組スタイルを目指したということがあるのだろう。すなわち、お話の主人公は防衛チームら人間たちであり、主役は怪獣であり、ウルトラマンはお話を終らせるデウス・エクス・マキーナであるというあり方である。主人公たる人間から見れば、マックスの故郷についてはマックス本人が語った「私は君たちがM78星雲と呼ぶ別の銀河系からやって来た」という情報しかなく、これを表現すると確かに「出身地:M78星雲のどこか」となる*6。しかし、「M78星雲のどこか」であり「光の国」まで指定しなかったことは後に影を落とした。マックスも放送当時ある程度の人気を獲得したにも関わらず、昭和ウルトラシリーズと地続きの続編であり光の国出身が最初から明示されていた後番組のメビウスとの共演も一切なく、「M78星雲のどこか」という出身地通り、まさしく宙に浮いたウルトラマンとなってしまった。

 ところが、放送終了してから3年後の平成21年(2009)映画作品『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の特報が公開された時、ウルトラファン、そしてマックスファンは目を剥いた。

映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」プロモーションビデオ
(※なぜか公式のPVはすでに消されていたので仕方なく有志が上げている動画を引用する)
 これまでのウルトラシリーズにはない、映像の美麗さもさることながら、光の国で戦うウルトラマンたちの中にネオス、セブン21、そしてゼノンの姿を確認したのである!
 『メビウス』は昭和ウルトラシリーズの地続きの世界観であったが、TVシリーズウルトラマン80』までのシリーズの続編という体裁で、USAやグレート、パワードと共にネオスやセブン21の存在はなかったことにされていた。そうした彼らが光の国が舞台となる『ウルトラ銀河伝説』において、再登場を果たしたことに感慨を覚えないファンはいなかったことだろう。
 しかし、ゼノンはマックスとともに「出身地:M78星雲のどこか」であり、光の国のウルトラマンかはぼかされていた。そうしたゼノンが画面に確認できたことで*7、「M78星雲のどこか」であっても、光の国の仲間ということが示されたのである!
 初報で出たのはゼノンだけだったが、マックスの登場もやがて明かされ、こうしてマックスとゼノンという「出身地:M78星雲のどこか」組も光の国ウルトラマンとして認定されたのだ(マックスとゼノンは『銀河伝説』の続編の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』でも姿を見せ光の国の戦士であることを印象付けた)。
f:id:hitofutamushima:20180808203517p:plain
 (ここまで読んできた方ならお分かりかと思いますが、私にとっての「新ウルトラマン」であるネオスと「帰ってきたウルトラマン」であるマックスが同じ画面に映るなんて感無量でした)
 ここまでは状況証拠的に、光の国のウルトラマンであることを意識付けてきたマックスだが、平成23年(2011)の『ウルトラマン列伝』第1話では「M78星雲光の国からやって来たウルトラマンマックスと紹介されたことで、ついに公式からもマックスは光の国出身のウルトラマンとアナウンスされ(今では円谷ステーション公式サイトでも光の国出身と明記)、「出身地:M78星雲のどこか」で私が無駄に拘ったやきもきは綺麗に消失したのであった。
 はずだった…
ウルトラヒーローシリーズ 18 ウルトラマンマックス

ウルトラヒーローシリーズ 18 ウルトラマンマックス

 『銀河伝説』や『ゼロ THE MOVIE』ではただの脇役でしかなかったマックスだったが、平成27年(2015)『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士』では主役であるウルトラ10勇士の一人として登場し、TV放送終了以来フィーチャーされることになった。もちろん、TVシリーズでも活躍したウルトラマンマックス本人という設定である*8
 ただ、『10勇士』のBlu-rayメモリアルBOX付属の作品解説書ではマックスは次のように紹介されていた(一条寺友也が書いているという体裁)。

マックスはタロウたちと同じM78星雲からやってきた文明監視員。(中略)マックスの出身地、タロウは「M78星雲のどこか」って言ってましたが、謎の部分があるのもまたいいですね。

 …
 「出身地:M78星雲のどこか」が復活している!!!
 どういうことなんだ…
 そもそも、この紹介文矛盾してはいないか?
 「タロウたちと同じ」M78星雲、なのに「M78星雲のどこか」はわからないって…
 マックスはM78星雲のウルトラマンの仲間だが、光の国出身ではなく田舎者だから、タロウも正確な出身地は知らないということか?
 しかし、それでは「M78星雲光の国出身」としてきたこれまでの解説や設定とも矛盾する…?
 あれですかね?京都市民じゃない京都府民が京都市民からあいつは京都人じゃないとバカにされ、京都市民でも洛中在住市民は洛外在住市民を京都人じゃないと思ってるようなやつ?
 以上を総合すると、マックスはM78星雲のウルトラマンと同族であるが、光の国出身と言うには微妙なものを抱えている…ということになる。光の国の仲間入りしたと思ったのに、逆にわだかまりがあるみたいになってしまったじゃないか…

*1:記憶の中なので細かい表現は微妙に違うかもしれない

*2:厳密にはそれまでもL77星出身のレオとかU40出身のジョーニアスなどもいたが

*3:ウルトラマンのソフビは今は裸売りだが当時は箱付きだったのである

*4:ちなみにウルトラマンティガとその仲間は「星雲」からやって来て石像だけ残して帰って行ったらしい。これによれば、ティガの出身地は「どこかの星雲」になる

*5:他の平成ウルトラマンにすごく失礼な物言いだがまあ中学生の考えることなので見逃してほしい

*6:初代ウルトラマンも作中では「M78星雲の宇宙人」としか名乗っていないので、正しいオマージュとも言えよう

*7:公開当時はメビウスの見間違えではないかとの声もあったが

*8:声が中井和哉さんじゃなかったのだけが心残りでした