志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

今後ゲームに参戦してほしい(CGポリゴンが作られて欲しい)デジモン考―完全体以下を中心に

 今更言うまでもないが、デジモンは全体数がこの手のキャラクターものとしては多い方である。20年以上続いており、その中でも基本的にコンスタントに数を増やしているので当然と言えば当然ではあるのだが。そしてこれまた当然のように、(その当時の)全デジモンが一堂に会した媒体というのは本当に初期にしかない。その後のデジモンはアニメにしろゲームにしろ選抜メンバーが出ている、ということである。別にこれ自体は悪いことではない(全デジモン出してそれぞれに個性付けして系統を組み立てるのは土台無理)が、どうしても格差が生まれる。アニメだと設定画があり、ゲームだと「素材」があるデジモンの出番が優先されやすい(例えば、すぐ下に述べる事情によって、『デジモンセイバーズ』のデジモンはゲーム出演機会は多かった)。特にゲームの場合は現代の「素材」は何よりCGポリゴンがそれにあたる。
 かつてデジモンは平成18年(2006)のアーケードゲームデジモンバトルターミナル』から始まって、平成25年(2013)の『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』まで主要デジモンのポリゴンを使いまわしてきた歴史がある。解像度が上がりゲームでもポリゴンに一定以上のクオリティが求められる現代、いちいち新作ゲームのたびに新規ポリゴンを用意するより遥かに経済的と言える。しかし、バトルターミナル時代のポリゴンは流石に見た目に耐えられなくなり、平成27年(2015)の『デジモンストーリー サイバースルゥース』(以下、サイスル)からはさらにブラッシュアップされた仕様のポリゴンが用意されることになった。
 サイスルのポリゴンはかなりレベルが高く、その後種々のゲームに流用されていくこととなった。ただ、サイスルに登場したデジモンは240体、まあまあ多いようにも見えるがデジモン総数から見るとまだまだ足りていないし、古参やアニメ主役すら網羅できているわけではない。令和2年(2020)発売予定の『デジモンサヴァイブ』など、2D作品が今後出ないわけではないが、基本的にはサイスル仕様のポリゴンが流用されていくのが基本線と思われ、多くのデジモンたちがゲームに出るためにはまずポリゴンが作られないことには始まらない。
 もちろんサイスル以降もデジモンの新規ポリゴンは作られ続けている。平成29年(2017)発売の『デジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリー』(以下、ハカメモ)ではサイスルから加えて70体の新規デジモンが追加され、それらの参戦チョイスは数に制限がある中かなりツボを押さえていたと評価できる。もちろん十全というわけではないが、基本フォーマットがやっと整ったと言えようか。
 また、平成28年(2016)から令和元年(2019)まで続いたソシャゲ『デジモンリンクス』や平成30年(2018)から始まり、令和2年(2020)5月現在まで続くソシャゲ『デジモンリアライズ』でも新規ポリゴンが順次追加されている。コンシューマーゲームは定期的とは言え数年おきにしか発売されないので、順次追加されるこうしたソシャゲの方が新規ポリゴンの増えようはリアルタイムで感じ取れる。
 ただし、一方でソシャゲの追加は基本的に小出しという宿命を背負っているし、既存系譜に乗っかって行く形での追加が多い。『デジモンリンクス』における新規ポリゴンは以前まとめたことがある(以下参照)が、中身としてはほとんど究極体とその派生(X抗体)が多い。系譜まるごと参戦を除けば完全体以下はキメラモンしかいなかったし、そのキメラモンも参戦契機としてはミレニアモン系譜の一体としてという側面が強い。
monsterspace.hateblo.jp


 『デジモンリアライズ』における追加デジモンは少し趣が異なるが、基本線としては同じである。例えばこれまでにスーツェーモン、シェンウーモン、ヴィカラーラモン、クンビラモン、ヴァジラモン、バンチョーリリモンなどが新規追加されているが、これらのデジモンは組織系に属しており、いずれ組織で揃えようという意向が見て取れる(十二神将は残り8体もいるのでなかなか骨が折れそう)。既存の繋がりを生かしてコンプ欲を刺激する追加の仕方と言えよう。
 ただし、『リアライズ』はそれだけではなく面白い追加の仕方もしている。数としては少ない、と言うか唯一的なものであるがメカモを新規追加しているのである。アルケニモンとマミーモンは02の敵コンビだが広義ではこの枠内に入るかもしれない。完全体以下で特に強いコネクションはない、しかしいたら彩になる(言うほどオメカモンって彩か?)、そういったデジモンへのフォローが見られるのである。
 これはかなり重要なことで、組織系コンプや究極体派生を増やすのも大事だが、それらの存在を支えているのは完全体以下のこういったある種の「モブ」であることを忘れてはならない。完全体以下をいかに処遇するのかという点はゲームの中で正解があるわけではないものの組織系や究極体以上に注力するだけでは頭でっかちに陥るのは間違いない。その点で言えば、ソシャゲの追加デジモンは概ね平衡感覚に欠けているとも言えよう。
 ただ制作側を忖度すれば、組織系や究極体以上のデジモンは傍から人気が測りやすいので優先せざるを得ない事情はあろう。「人気は見えないがいるとゲームとして充実する」枠は正直言ってファンでもなかなか意識化されない箇所ではあろう。そういうわけで試みにそういった枠でこいつは欲しいなあというのを考えてみたのが本記事である。
 と言うとさも客観的な視点でこいつはいるべきという指標を示すのかとも思われそうだが、あくまで個人的意見と嗜好であることをお断りいただく。「そんなのがいると思ってるのはお前だけじゃ」や「こいつもいてほしい」と思われるのはまあ当たり前というか、そりゃそうじゃ…

 一応最初に凡例らしいものは設けておく。
一、挙げられるデジモンは原則的に成長期以上完全体以下
一、組織に属している(クラックチームのような繋がりは除く)デジモンや明確な進化系譜に属しているデジモン(進化系譜ごと作られたデジモン)は挙げない
一、アニメでメインを務めたデジモンは挙げない
一、アプモンデジモンに織り込むのはめんどくさそうなので今回は挙げない

 正直言ってこの記事を書いた理由の3分の2くらいはこれを言いたいがためだけなところがあるのは白状せねばなるまい。初代デジタルモンスターと後継のデジモンペンデュラムはデジモンをブーム化させた祖であり、その中で現れたデジモンたちはデジモンの原イメージを形成したのは間違いない。実際にペンデュラムまでのギアに参戦できたデジモンはテレビゲームや最初のアニメ『デジモンアドベンチャー』での出演率も高く、正しい意味で「原メンバー」と言い得る。言わば、奴らはポケモンシリーズで言うカントー組、赤緑組にあたるわけで、是非に及ぶ前に全員出せる状態にしておくのは意味より意義の点で深い。何より未参戦組の中でも認知度は高い方だし、まさしく「いて当然だがわざわざいて欲しいアピールもされない」枠に入ると言える。
 具体的に現在まででどのデジモンがサイスル形式ポリゴンが作られていないかと言えば、シェルモン、ドリモゲモン、ギロモン(Ver.3)、コカトリモン、モジャモン(Ver.4)、ギザモン、デビドラモン、デルタモン、フライモン、タスクモン、エクスティラノモン(Ver.5)、トータモン、ジャガモン(ペンデュラム1)、ガニモン、ルカモン、エビドラモン、ゲソモン、オクタモン、ハンギョモン、プクモン(ペンデュラム2)、バクモン、キャンドモン、ハヌモン、ドクグモン、マンモン、スカルマンモン(ペンデュラム3)、フローラモン、キウイモン、レッドベジーモン、デラモン、ガーベモン(ペンデュラム4)、リボルモン、メカノリモン、サンダーボールモン(ペンデュラム5)、イガモン、アシュラモン(ペンデュラムZERO)の37体である。意外と多いな!
 こうして並べられると、どいつも出ずべくして出ていないようなメンツな気も…いやいやいや!ここで弱気になってはいけない!何となくだが水棲系と虫・自然系が多めにも見えるし、ここは現在に至っても微妙に弱いままでもあるので、一部のオリンポスとセット売りする等で揃える手もあるだろう。
 ちなみにこの項では例外的に究極体も挙げているが、選りによってスカルマンモンプクモンか。スカルマンモンはまだ骨系究極体に終着点として存在意義はありそうだが、プクモンはペンデュラム究極体の中では一番人気なさそう…。まあ頑張ってもらいたい(適当)。

 以下は特定のデジモンを1体ずつピックアップしていく。…の前にちょっとだけ長い話がある。
 『デジモンリアライズ』ではデジモンごとに進化系譜をセットで付けるシステムを採用している。つまり、通常のデジモンゲームのようにアグモンは育成如何によってグレイモンになるかもしれないし、メラモンになるかもしれないし、ヌメモンになるかもしれない…ということではなく、デジタマから生まれた瞬間にどの究極体(完全体)まで進化するのかが決まってしまっているのである。これは別のところには持ち込んで欲しくないシステムだと思っているが、まあ今是非を論じても仕方がない。
 ただどうしても究極体を重点的に追加する今の風潮だと完全体以下は系譜上使いまわされてしまうのは必至である。完全体なんて「通過点」だから使いまわそうがどうでも良くない?とかそういう意見もありそうだが、個人的には完全体を「通過点」にしてしまうことを含めてあまり納得できない。もちろん使いまわすのが経済的なのは間違いないし、現状ではそこまで特定のデジモンに負荷がかかっているわけでもない(でもデジタマモンは便利屋扱いされすぎじゃないかね)が、将来的に(どうせ増えるのは組織系だと考えると)特定のデジモンが「進化前」として使いまわされていくのは容易に予想できる。
 そうした特定のデジモンへ負荷対策をするとしたら、属性としては既存のポリゴン有デジモンと被りつつ最低限の差別化もしてあるデジモンの追加が求められよう。そうしたことも加味して選んだ(つもり)。

  • イビルモン

 こいつペンデュラムにいなかったのかという驚きも兼ねた1体(今更)。直接関係ないが、リアライズでのデーモン系譜の成熟期はレアモンで、これはこれでとも思わないこともないがやはりあんまりではなかろうか。闇系成熟期はいくらいても人材難ということはない。

  • ブラキモン

 首長竜型という、いやそりゃ首が長い竜だけどさ…でお馴染みのデジモン。顔がよく見るとアグモンタイプで体色は完全にグレイモンだが特に関係はない。見た目も設定も大したことがないデジモンだがそれが一つの売りでもある。スーパーモブとして適役だが、ちゃんと進化先(アルティメットブラキモン)が存在するので、一点輝ける素質もあるだろう。

  • マスターティラノモン

 ティラノモンの進化はデコード以来メタルティラノモンが幅を利かせている(ラストティラノモンが出た都合)。デコードにはマスターティラノモンも出ていたのだが、マスターはそれきり音沙汰なく完全に明暗が分かれた格好になってしまった。しかし、正直言うとメタルティラノモンはダークティラノモンの進化系なイメージが強いし、ティラノモンが素材の良さを生かす形でレベルアップするならマスターの方がふさわしい。もっとも完全体としてはデザインがのっぺりしすぎているが、プレーンさゆえに恐竜系のバイパスになっても良いし、一転して格闘系と絡んでもいいのだから生き所はもっと見出されて良い。

  • オロチモン

 オ~ロ~チ~。後にスサノオモンが超究極体クラスで登場してしまったため、素戔嗚尊の主敵八岐大蛇を元ネタにするデジモンとしてはかなり格落ちの感さえある。ただそのおかげかオロチモンの立ち位置というのは絶妙であり、多頭でおどろおどろしいが究極体の箔には欠けるいい意味での完全体らしさがある。竜、水棲、邪悪と色々な要素を引き受けられるのも魅力でしれっといても目を引くが目立ちすぎないのである。

  • スコピオモン

 カラテンモンともどもテイマーズ期にカードでしれっと登場した一体。その割に特に展開が付随していたわけでもなく何で唐突にぽっと出たのか今なお不明。サソリモチーフだが昆虫型であり、身体は骨っぽいのでバイパスデジモンとしての役割が大きく持てる。この凶悪面でデータ種というのもテコ入れ的に魅力である。スコルピ

  • マメティラモン

 ペンデュラムエックスで初登場したマメモンタイプのティラノモン。マメ「ティラ」モンなのに注意が必要。すでに機械化のメタルティラノモン、ぬいぐるみのエクスティラノモンがいたのでマメティラモンの登場で初代デジモン完全体がティラノモンで揃った。

  • ローダーレオモン

 お前はバンチョーレオモンの系譜だろ!?と言われそうだが、初出はたとえそうであっても早くも『セイバーズ』期には進化系譜としては解散してしまったと見て良かろう。実際バンチョーレオモンとローダーレオモンってデザイン的にも共通項あんまりないし、グラップレオモンからバンチョーになった方がまだ繋がりがある。まあそのグラップレオモンは元々マルスモンに進化するはずだったとか、最近になってヘヴィーレオモンという新しい進化をもらったとか、とにかくレオモン系譜というのはごたつくようだ。ってそういうことが言いたいわけではない。
 ローダーレオモン特有の魅力とはやはり重機+4足獣であることだろう。見たまんまだが実はこういう完全体はなかなかいない。身体を機械化するのはデジモンの中で特別珍しくはないが、フルメタル化かつ4足獣と言うと究極体になってしまうことが多いのである。その分4足獣進化ルートなどで役割が持てると考えている。あと単純にケンキモンとかと同じグループに入ってるのが見たい。レオモンであることは保険にもなるし(正直ヘヴィーレオモンは今後別のゲームで出番あるならローダーの進化系にして欲しい)。

  • スイムモン

 実は全然いないお魚成長期。熱帯魚だから何なんだよって感じだし、仮にお魚究極体であるメタルピラニモンに繋げるとしても微妙に間を欠く状況ではあるが、成長期にこういうタイプは1体くらいいてほしい。実は空を飛べるし、口は魚よりも鳥のクチバシに近いので同時期に登場したヴァロドゥルモンも見据えてるのかどうかは知らないが…。『フューチャー・イズ・ワイルド』にはオーシャンフリッシュという飛ぶ魚がいたが、何となく似ている。

  • エンジェウーモンX

 突然のX抗体。推薦理由はオリンポス十二神対策である。具体的に言えばウェヌスモンとユノモンのことだが、彼女らはとりあえずカードではエンジェウーモンを進化前にしている。まあエンジェウーモンは神聖女性型としてはプレーンな方だし、天使から女神へというルート作りは妥当である。が、エンジェウーモンはただでさえ進化先が多いデジモンでもあるので、エンジェウーモン1体に進化前の役割を担わせすぎという問題が出て来る。エンジェウーモンXに期待するのは女天使と言うより女神官のような佇まいになったため、原種よりも女神へ進化するのに合致度が高いと思えるからである。まあいきなりオリンポス系譜にX抗体が混じるのはそれはそれで浮きそうだが…。

 ちなみに将来的に『リアライズ』で実装されるであろう十二神将デジモンだが、特定の系譜持ちであるアンティラモンを除いて、十二神将はカードではアーマー体から進化していた。今に至るまで十二神将の進化前がアーマー体であるのは公式設定として明言されてはいないが、アーマー体を追加するための設定として意識しておいてもいいだろう(四聖獣にアーマー体のパーツっぽい仮面が付いてるのも併せると何らかの意味はありそうなんだけどよくわからない)。カードによるアーマー体→十二神将は次の通り。

  • プレイリモン(パタモン優しさ)・ブルモン(ワームモン希望)⇒クンビラモン
  • ブルモン(ワームモン希望)⇒ヴァジラモン
  • ランクスモン(テイルモン勇気)・ビットモン(テイルモン友情)⇒ミヒラモン*1
  • フレイドラモン(ブイモン勇気)⇒マジラモン ※フレイドラモンはポリゴン有
  • オポッサモン(テイルモン優しさ)⇒マクラモン
  • スワンモン(テイルモン愛情)・ライドラモン(ブイモン友情)⇒シンドゥーラモン
  • ライドラモン(ブイモン友情)⇒チャツラモン
  • クアトルモン(ワームモン光)・サジタリモン(ブイモン友情)⇒サンティラモン
  • サジタリモン(ブイモン友情)⇒インダラモン
  • シープモン(アルマジモン希望)・オポッサモン(テイルモン優しさ)⇒パジラモン
  • ボアモン(アルマジモン勇気)⇒ヴィカラーラモン

 ホークモン「…あれっ?」

追記・などと言っていたら何とサジタリモンが新規ポリゴンを引っ提げてやってきた(5月8日)。本気?本気なのか!?マジで進化前アーマー体揃えるのか!?

後の大したことのない感想

 思ったより弾けなかった。何だかんだ自分の中でも追加してほしいデジモンって組織所属だったり系譜持ちだったり究極体だったりするので、それ以外を意識化しようとしても「いや要らなくない?」と自問することしきりになってしまった。難しいですな。ソシャゲがそうした追加に走るのも致し方ないのかもしれない。ってそこを結論に持ってきて良いのか。いかにデジモンに「売り」を作るのに他のデジモンとの深いコネが必要かという話なのかもしれない。

*1:ミヒラモンは初出カードではハヌモンから進化している