志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

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令和5年(2023)のプロ野球

 6年ぶりの野球国際大会は何と日本が全勝で優勝を決めるといういきなり野球年として大当たりから始まった。しかも準決勝のメキシコ戦まで堅実かつ点差をつけて勝ち続け、準決勝・決勝も接戦をものにして危なげなかった。こんなに強くて良いのだろうか…。この点で心配なのは韓国だ。中国・チェコは野球新興国ながら見るべき選手はいたし、オーストラリアも強豪の一角ならではの存在感は見せた。それに対すると、韓国がはっきり言って弱かったのはがっかりだった。何だかんだ第2回大会などは韓国がライバルとしていたからこその盛り上がりが双方にあったと思っている。それが今大会では全く存在感を示せない体たらくだったのは正直寂しい
 一方で今大会の日本チームの新味としては母親が日本人であるヌートバーの参加がある。まあ過去にはダルビッシュという存在もいたわけだが、ダルビッシュが一応外見は東洋人なのに対してヌートバーの外見は日本人離れしている。どうしても日本人は単一性が強い民族で、あまりバラエティ感があるわけではない(別にそれが必要なわけでもないが)ので、ヌートバーみたいな存在が日の丸を背負うだけで、国としての包容力を感じるし、「日本人」だけではないノリの良さのようなものが増えるように思える。

 阪神は岡田監督が15年ぶりに監督となった。正直言って岡田監督はあまりイメージが良くなかった。週刊ベースボールのコラムを読んだり解説などを聞いていても、昔の野球やチーム観をそのまま引きずっているような感触があり、まずは現代野球に適応できるのかというところから疑問だったからだ。実際、岡田監督には気ままな面もあり今年も交流戦くらいでチームが一時沈んだ際はあまり機嫌が良いようにも見えなかった。
 もっとも阪神はここ数年は普通に優勝を狙えたチームではあった。それでも活躍した村上、大竹らは今年の新戦力で、通年で活躍できるかは未知数だ。抑えの湯浅もWBCの影響か、あまり試合には出られず、優勝できるかどうかはまだまだわからないと睨んでいた。チームがガタついた時、岡田監督が立て直せるのか、再起の力がチームにあるのか、不安だった。
 そんな危惧を他所に阪神はあれよあれよと10ゲーム差以上をつけて優勝してしまった。特に8月後半から優勝する9月中旬までは実に強かった。新戦力は通年で活躍したし、リリーフの疲れもほぼ影響がなかった。お見逸れした…と言うほかない。
 日本シリーズオリックスと一進一退だったが、流れが傾きかけたところで岡田監督は復帰したばかりの湯浅をリリーフ投入した。「そんなバカな」と思いつつ気付けば打線が奮起し、もつれた末の第7戦は終わってみれば阪神が圧勝し日本一にまでなってしまった。
 思い返せば今年の阪神はとんとん拍子に上手く回った。優勝する力はあると思っていたが、それでも貯金32、2位と11.5ゲーム差は出来すぎだ。普通に考えたら連覇は硬い。それだけの役者がそろっている。
 拙弟は長らく岡田監督の再登板を切望していてその理由は「優勝実績のある指導者に期待をかけるのは当然」と言っていた。個人的には半信半疑だったが、実際こういう「勝ち方を知っている」「運気を掴む」ような能力(オカルトチックだが)はバカにならないのではないかと今では思っている。何せ岡田監督は日本一にも優勝にも関わっている。ここまで18年阪神が優勝できなかったのは至極簡単で、最後の一押しのような人材がいなかっただけのかもしれない。
 ともあれ、阪神優勝&日本一おめでとうございます。前の時はあまり意識できなかったので優勝&日本一の雰囲気を地元で体感できたのは新鮮でした。

 新井さんに監督なんて出来るのかよと思っていたら貯金9で2位に入った。正直、何で2位に入れたのかよくわからない戦力だと思うが、不思議としぶとく最小点差を守り切り、また3連覇時代がよみがえったように巨人をボコボコにした。新井さんは「今ある戦力で優勝できる」と宣い、「いやー厳しいんじゃないか」と思っていたのが、一部の選手がピンポイントで活躍し、一時は確かに優勝争いもしたのだから、これまた脱帽だ。岡田阪神と似た感慨だが、新井さんも阪神にいたわけで、コネや「勝ってきた」経験も豊富だ。そういう意味では実は「監督」としては悪くないのかもしれない。
 一方、采配者としての新井監督というのはいきなり熟成しているというか、新人監督にありがちな「俺が俺が」のようなものはなかった。個人的には1年目はカープの監督らしく適度に失敗してそれを糧に成長してほしいと思っていたので、いきなり手堅いのは逆に成長の機会が奪われているような気がする。
 なお、新井カープは8月下旬から勝負を仕掛け、3連投の解禁や未だ復調していない西川を起用するなどを行ったが、結果は阪神に返り討ちにされ優勝争いからは完全脱落した。これには毀誉があるが、前半ゆるゆるだったのは勝負を仕掛けるためなのは間違ってはいないし、勝負を仕掛けた結果負けるのも勝負するには付き物のリスクだ。だから、結果は伴わなかったが、一概に誤りとは言えない。むしろ今年は失敗したことで、来年どう変えるのかあるいは変えないのか、そこに「成長」を見たいと思う。

 米騒動などやたら今年はやたらとネタ扱いされていたが、こういう年に限ってカープは相性が悪いというか、後半戦で勝ったと思えた試合をなぜか落としたのが複数回もあって、何となく嫌なイメージになってしまった。

 気付けばぶっちぎりの3連覇を遂げた。日本シリーズ阪神との関西ダービー。絶対に負けられない戦いだったが、終盤で怪我人が多かったことや山本・宮城のダブルエースが1回ずつ打たれたのが尾を引いた。日本一連覇こそ惜しくも逃したものの、4番の吉田が移籍した中でも優勝なので本当に強くなったと思う。まさしく黄金期だ。

 鳴り物入りで復帰した田中は劣化しまくってるし、節操のない補強をしまくり、それでいて本来球団の功労者であろう選手は球団外に出し、しかもAクラス入りできていないというとんでもない状況でさらに安楽のパワハラ発覚といつの間にかチームが完全崩壊していた。こんな時に監督になるのが今江なんだから、今江を好きな身としてはなぜこんな貧乏籤を…と同情することしきりである。しかし、楽天はチームカラーの確立が一番大事と思ってきたのにここ数年でカラー自体が雲散霧消してしまって悲しい。今江監督にはがんばれと言う他ないが…。

 今年は不思議なシーズンとなった。上位チームが「強い」のは疑いないものの、傍目には戦力が強力そうな巨人やソフトバンクは必ずしも戦績が良くなかった。何というか「雑に強い」野球よりも、試合終盤にしぶとく1点を取る方が勝った感じだ。そういう点で言うと巨人の阿部新監督がバント重視(のように見える)のはあながち的外れでもないのかもしれない。