志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

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『ウルトラマンアーク』第21話「夢咲き鳥」感想+玩具レビュー

 ウルトラマンアーク』想像力をテーマにしているウルトラマンだ。という初報の時から密かにキングオブモンスの登場は期待していた。キングオブモンスは先年ウルトラマンガイアのイベントで出来の良い着ぐるみが作られたこともあり、映像作品への登場熱も高まっていた。また、設定的にも子供が粘土で作った怪獣の誕生を願ったことによって生まれた怪獣であり、想像力というテーマとも響き合う。『アーク』への登場は設定的にもタイミング的にもうってつけに思えたのである。
 そして、『ウルトラマンアーク』が後期OPになるとその中でキングオブモンスの姿も映り、実際に登場することが明らかになった。え?本当に?当然だが、キングオブモンスは映画『ウルトラマンティガウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』以来の再登場となる。ガンQ以外のガイア怪獣がニュージェネレーションウルトラマンに再登場するのも、合体元として以外では初となる。であれば、貴重なガイア怪獣のニュージェネ初出演。どういうものだったのか、記事を認めねばなるまい…。

↓ちなみに以前同じ心持ちでモンスアーガーについても書いた。
monsterspace.hateblo.jp

 だが、『ウルトラマンダイナ』を強く意識していた『ウルトラマンデッカー』と違い、『ウルトラマンアーク』には特に『ウルトラマンガイア』の要素があるわけではない。「ガイア怪獣として」キングオブモンスが出るわけではないし、ましてやガイアの客演を望めるというわけでもない。特に後者については、『アーク』はブレーザーとの共演でもあくまで、「『アーク』から見たブレーザー」に徹しており、SKaRDの隊員どころかゲント隊長すら登場しなかった。そうであれば、ガイアはますます『アーク』とは関係ないわけで、キングオブモンスを『アーク』の中の1話を彩る怪獣として出せるならどのようなものになるのか?それがまた、キングオブモンスの怪獣としての可能性も広げることになるのではないか…ということも考えていきたい。
 ということが前提だったのだが、放送が近づいてくると、違った形での不安が見え始めた。赤い球が出てくるのはキングオブモンスが登場する前提としてアリだとして…何と赤い球に願って最初に現れるのはザンドリアスだというのだ。…ザンドリアス?ザンドリアスは『ウルトラマン80』に登場した駄々っ子怪獣で、ウルトラ怪獣擬人化計画クラウドファウンディングにかこつけて着ぐるみが作られたことから、ニュージェネでも登場を繰り返しているウルトラ怪獣だ。当然だが、キングオブモンスとは何ら関係がない…。確かに顔が似てるくらいは言えるかもしれないが、そんなん言い出したら赤い目で翼が生えてたら全部同じに見えるのか?そんなのが通用するなら、ティガ・ダイナ・ガイアをパッと見で区別できない一般人をバカにできないぞ。

 また、放送日である12月7日にキングオブモンスのソフビが発売されるのはいいとして、同日にはウルトラマンガイア(スプリーム・ヴァージョン)の発売も決定。さらにTSUBURAYA IMAGINATIONではガイアOVの配信が始まるという。あれっ?出ないとばかり思ってたけど、ガイア客演の可能性あるのか?まああったとしてもキングオブモンスや赤い球の説明で、別時空でのかつての戦いが映る『トリガー』や『ギャラファイ』の再現映像パターンあたりかな…。

 繰り返すが、私は別に『アーク』にガイアが出ることは望んでいないし、『アーク』としてのキングオブモンス回を期待していたのだが、何だか落ち着かないことになってきた。一番ダメなパターンは、突然ガイアキューブが現れアークがガイアオマージュ演出でキングオブモンスを倒すとか、そういう表面的になぞりました的なやつだと思うが…。はてさて…。

 まずはとりあえずざっとお話の流れを紹介してみよう。
 放送としてはアバンパートがなくいきなりOPに突入する特殊な始まり方。おお…?やっぱりスペシャル回なのか?でもいきなり流しちゃったら仮にガイアが出る場合、スーツアクタークレジットあたりでバレないか?と思いつつ目を凝らしていると「ギヴァス」の文字が!ギヴァス???ザンドリアスが出るだけでも当惑気味なのにここでギヴァス!?ギヴァスは『アーク』11話・12話に登場したロボットで、当初は敵と思われていたが、彼が発する「ギヴァス」という言葉が月が出ている時のみ「友」という意味であることが判明し、ユウマと友誼を結んで「新たな月」を求めて去っていった存在だ。再登場はあり得べきことではあるが、ここで…?それともギヴァスはチラッと映るくらいで、ガイア客演のブラフなのだろうか?まあここは一つ置いておくとしよう。
 お話としてはSKIPのリンの友人であるアオイを主人公として展開。子供に夢を与えるSF作家を夢見ていたアオイだが、現実は厳しくやりたくもない仕事を無茶ぶりされ続ける毎日(そうした間にも友達は夢を掴んだり結婚したり幸せを謳歌している)。そんな彼女の前に赤い球が現れる。赤い球は「さあ願いを言え、どんな願いも叶えてやろう」的なことを言い出し、アオイは一度は相手にしないが、赤い球はアオイの前に現れ続ける。アオイは自身が構想した「夢咲き鳥に会いたい」と望むと、赤い球はザンドリアス幼体の姿になる。ちなみにこいつは夢から採って「ドリちゃん」と呼ばれるが、「ザンドリアス」とは怪獣名紹介テロップはついぞ出ないので、作中的には「ザンドリアス」ではないという線引きはされているようだ。
 夢咲き鳥のドリちゃんはアオイにアイデアを与え、それに従ってアオイがSFを書き出すと出版社への受けも良い。一方のSKIPは北川町に怪電波の存在をキャッチ。アオイが北川町に勤めていることを知るリンは連絡を取ってくるが、アオイはドリちゃんの存在を隠そうとする。しかし、ドリちゃんはザンドリアス成体の姿にまで成長してしまいもはや隠すのは不可能になってしまう。防衛隊が駆け付け、リンが止めるのも聞かずドリちゃんに発砲すると、ドリちゃんは幼体の姿に戻って息も絶え絶え。絶望したアオイは「こんな世界壊れてしまえー!」と願い、アオイのアイデアメモから得た特徴を持つキングオブモンスが爆誕!ユウマはアークに変身するもクレメイトビームの直撃を受け吹っ飛ばされるともうグロッキーになってしまう。
 暴れるキングオブモンスで街は大混乱になる中、逃げ遅れた少女の姿を見て、子供に夢を与えるはずがなぜこんなことに…とアオイは自分の罪に逡巡する。「助けて!誰かウルトラマンを助けて!」とアオイが願うと、月にいたギヴァスが反応し駆け付ける!アークとギヴァスの共闘はキングオブモンス相手に一進一退だったが、ギャラクシーアーマーも装着しキングオブモンスの撃破に成功!
 そして赤い球がアオイとリンの元に現れる。赤い球は殊勝にも「私は存在するべきではなかった…」と言い出し、リンが「アオイに似てる気がする」と言うと、アオイも「この球は私自身なんだ…」。赤い球は「私自身を終わらせてくれ…」と宣うので、アオイは「赤い球よ…消えて」と願い赤い球は消失。アオイには日常が戻ってくるも、その中でドリちゃんの泣き声を聞くのだった…。
 …。あんま言いたくないけどさ、この話ダメじゃない?端的に言うと「アオイの悩みが怪獣を生み出し怪獣によって昇華される話」と「キングオブモンス登場」と「ギヴァスが救援に来る」という3つの別のトピックが独立しきっていて全く「一つの話」になっていない。
 まずはギヴァスについて。ギヴァスは説明した通り、ユウマと友誼を結んで去っていったわけだが、今回の召喚的な登場はそうしたバックボーンとは何の関係もない。しかも戦いの時間は昼なので「月が出ている時だけギヴァスの意味が反転する」という設定も働いていないオマケつき。個人的にはこういう「設定を無視した雑な再登場」は嫌いではない(初出設定にガチガチにこだわってしまうと、その後の再登場の幅は狭くなるので)。でも今回のギヴァスはギヴァス(2代目)とかではなく本人だし、何より12話以来再登場してアークを助けるというのも初めての機会だ。であれば、やはりギヴァスの自発的意志で「満を持して」という感覚は欲しかった。今回でも前半にギヴァスの新聞記事を出したりしていて伏線こそ張っていたし、アークの世界観的にアオイが知っていてアークを助けられるのもギヴァスくらいではあるので筋が通っていないことはないが、通すべき筋はそれとは別にあったはずという思いは拭えない。ギヴァス再登場はそれに向けてきちんとお膳立てされた話でこそ欲しかったし、今回だってアオイとリンの友情も一つの要素ではあったはずなので、友情をテーマに昇華してギヴァスを絡めていくのもアリだったはず…。
 上記とも関わるが、次にキングオブモンス。なぜアオイがキングオブモンスを着想できたのかというキングオブモンス再登場にあたって一番のキーポイントになりそうな部分は、アオイのアイデアを赤い球が昇華したから…ということになった。「巨大な爪が腹部に!」「金色の翼」「赤い怒りの第三の目」はまだギリギリSF小説のアイデアとしてアリとしよう。「キングオブモンス」というネーミングピッタリなメモは着想どこ?直前に「夢の中は夢見るものが王」というメモも映ったが、王→キングとしても夢→モンスには絶対ならない。そもそもアオイさん、どういうSF小説を書いてたんだ?そう、ここはもう完全に「キングオブモンス」ありきなのである。すでにメタ的にキングオブモンスがいるから、細かいところを無視して「キングオブモンス」という文字を出さざるを得なかったと見える。
 でもザンドリアスは「ザンドリアス」じゃなく「ドリちゃん」で、作中の紹介テロップでも「ザンドリアス」という文字は出なかった。それならキングオブモンスも「キングオブモンス」でなくて良かったのでは?違うんだよね…アオイに「キングオブモーンス!」って叫ばせたかったんですよね?ギヴァスもギヴァスが自発的に助ける筋じゃなかったのは、赤い球に願って助けに来て欲しかったんですよね?
 最初に言ったけど、こういう『超時空の大決戦』の表面的オマージュを優先させるのが一番ダメなやつだよ…。これもあって最後の赤い球の消滅を願う下りもすごく…ただの取って付けただけの原典なぞりだよ…。今回の感想をわざわざ認めているのはキングオブモンス登場回だからなのは間違いないけど、おれは『ウルトラマンアーク』を観に来ているのであって、『超時空の大決戦』の再演を見に来たわけではない…。再演に拘るならギヴァスじゃなくガイアを出した方がまだいくらか完全に「再演」がメインのスペシャル回として受容できただろう。これならガイアが出た方がマシだ、なんて観る前は思ってもいなかった言葉が出てきて我ながら正直驚いている…。
 実際、今回のエピソードは『ウルトラマンアーク』としても質が低い。SKIPもリン以外はほとんど出てこないし、ここまで対話の大事さを描いてきた作風もあるのに、防衛隊は事情も聴かずにドリちゃんに発砲してさらに悪い事態を招いてしまう。キングオブモンスも想像力の産物のはずだが、アークと対置させる描き方も全くなかった。リンのメイン回と見てもアオイへの関わり方はワンオブ友人の域を出ない。アオイやアオイの勤める出版社の人たちの「嫌だけど悪い人ではない」リアリティは脚本の中野貴雄の得意とするところがよく出ているが、『ブレーザー』での怪獣保険回が『ブレーザー』ならではのリアルさを換骨奪胎していたのと比べると、『アーク』ならではという人物像ではない(ここで補足的に書いてしまうが、個人的には今回のアオイの夢破れても味のない日常を進むしかない、でもドリちゃんはいるかもしれないというビターな終わり方自体は『劇場版R/B』的で要素だけなら結構好き)。少なくともおれが身勝手に期待していた『アーク』のキングオブモンス回は、ユウマ・アークの裏返しとなる怪獣にSKIPがどう立ち向かっていくか、という話だったので、今回はそうした予想とは全く違う仕上がり(仕上がってないわけだが)と言える。
 最後にキングオブモンスの活躍はどうか。ここは特技監督の内田演出が冴え渡っていて、ギヴァスとの共演もあり近年でもハイレベルなバトルに仕上がっている。キングオブモンスはアーク単体は圧倒して見せたし、ギヴァスが加わっても攻防は一進一退で、劇場版の顔を務めたボス怪獣という格は全く格落ちしていない。その点で言うといい再登場だった、と言えるレベルは優にクリアした活躍ぶりではあった。一方で惜しさもある。アーク単体は圧倒したものの、アーク側はアーマーどころかアークトリッキーテクニックすら使っていないので、ギヴァスが駆け付けなくてはならないほどだったのかという説得力に一押しがない。ここまでアークは苦戦しても自分で逆転の糸口を掴むことも珍しくなかったので、キングオブモンス相手でもどうにかなったのではと思えてしまうのだ(ここらへん想像力の怪獣なのにお話としてアークと対置しなかった弊害でもある)。また、元がイベント用に作られた着ぐるみなので、着ぐるみにギミックがない。口が動かないのは上手いこと誤魔化していたが、腹部の爪も展開しないし、部位破壊にお誂え向きな金色の翼も動いたり壊されたりしない。イベント用とはいえ、出来のいい着ぐるみなんだから映像作品にも出ないかなあと言う素直な気持ちがいかに浅はかだったか思い知るには十分な固定ぶりだった…。もちろん出てくれるのはうれしいし、だいぶ気を使ってくれてはいるのは出来上がった映像からも十二分に伝わる。だからこそちょっとの惜しさも目立ってしまうのだ…。
 以上を総合すると、今回は『アーク』として成り立ってないし、キングオブモンスも再登場としては及第点ではあったが、今後も生きるだろう一怪獣として得るものも特になかった。同じくわざわざ感想記事を認めたモンスアーガーと比べるとだいぶ残念さがある。もちろん「世にくたびれた女性編集者の話書きてー」「キングオブモンスを出してください」「シリーズ構成的にギヴァス再登場をやれるのはここしかない」などの様々な事情が重なったかもしれず、同情しようと思えばできるかもしれないが、まあ30分にまとめられず破綻するのもそれはそれで評価ではあるので…。浅知恵的にはザンドリアスとギヴァスはカットするか、着ぐるみ事情的に影響のない次の22話を潰して前後編にした方が同じ話でも成り立ったのではなかろうか(ちなみに個人的には22話は好きな回なので、22話潰すくらいなら21話もキングオブモンス関係ない他の話にする方を選びます)。
 つまるところ、おれはウルトラマンアーク』の一怪獣としてのキングオブモンスを見たかったのだが、製作陣は『超時空の大決戦』のキングオブモンスを意識しすぎており、そのズレが最後まで埋まらなかったということに尽きる。キングオブモンスは『ダイナ』の何の変哲もない一話に登場したモンスアーガーとは良くも悪くも格が違うのだが、その格の違いに推し潰された感じだ。もっとも『アーク』は自分をしっかりと持っている作風だったのでキングオブモンスも一怪獣として処理できるという期待は過大ではなかったはず。今後のシリーズでもキングオブモンスは再登場のチャンスはあると思うが、気を遣う再登場は済んだとばかりにワンオブ使い回しボス怪獣に定着していくのか、あるいは…。今後に期待するにしたって『アーク』で再登場する今回が恐らくキングオブモンスを再定義するには最大のうってつけの機会だったわけで、それがイマイチだったのは惜しい、惜しすぎるとは言っておきたい。

 ちなみにキングオブモンスは今回の放送に合わせて定番ソフビ入りした。数年前にDX枠でも商品化されていたが、ガイア怪獣としては貴重な定番入りとなる。



 造形は悪くないが、今や800円でもこの塗装レベル!可動箇所は腕の身で翼は成型色のまま固定である(数年前のゲランダともども旧ソフビの名玩具ポイントが消えてるのは寂しい)。キングオブモンスは過去にも対決セットでミニソフビが商品化されており、迫力に欠ける出来だったが、今回のソフビの塗装はそれをさらに下回っている。元のデザインがいいだけに、キングオブモンスの良さを伝えるには厳しい出来栄えだ。うーむ…。

うわッッッ!!!!???!!??
まるで大人と子供

p-bandai.jp

 そういうわけで現れ出たるはS.H.Figuarts キングオブモンス!狙いすましたかのように12月下旬発送で、『アーク』での登場に合わせている。

この顔!
この腹!
この翼!

 これは…間違いなくキングオブモンスの立体物の決定版だろう。造形も塗装もハイターゲットだけあって高クオリティの出し惜しみなし。元々賑やかなデザインなのでアクションフィギュアになっても違和感が少ない。素晴らしいの一言だ。

フィギュアーツのウルトラマンと比較すると流石にデカすぎないか?(ロイヤルメガマスターなのは「キング」なのと色繋がりです)
魔王を退治する勇者?
ULTRA-ACTでようやくサイズが合う
「僕がこの球にお願いしてもっと自由で楽しい世界を作ってもらうよ…」(言うまでもなく中の人ネタです)

↑ジャン兄弟とキングオブモンスは中の人ネタ以外にもジャンボーグ怪獣に「キング」「モンス」多すぎという点でも通じ合うのでいずれどこかで戦ってほしい。