志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

パワプロクンポケットの思い出と『パワポケR』への期待

 6月16日の朝起きてみたら眠気を覚ます上喜撰…じゃなかったニュースが飛び込んできた。何とパワプロクンポケットR』の今冬発売が決まったというのだ。
 パワポケ復活!
 ぶっちゃけると、パワポケが今後復活することはないと思っていた。パワポケが輝けたのはパワプロが携帯機に進出しつつも、パワプロそのものではないことが許されたゆえであり、「野球バラエティ」路線となったのも、ハードの都合上単に野球をするゲームというだけでは持たないという事情も大きかったはずだ。パワポケパワプロを携帯機でプレイしたいが、パワプロそのものを持ってくることは難しいことから生み出されたゲームだったと言える。携帯機の性能が進歩し、携帯機と据置機の垣根さえ曖昧になった昨今においてパワポケは歴史的使命を終えた(それを示すようにパワポケ終了後、携帯機でもパワプロが出るようになった)。最近はパワプロアプリでパワポケ要素を拾ったりもしていたが、そこそこ人気と話題性のある外伝を本家が少し拾っているにすぎない。今後パワポケが生きていくとしたら、本家に間借りする庶子くらいのポジションが関の山…それくらいの感覚であった。
 かつてパワポケに親しんだ人間とすれば、仮に動きがあったとしてもパワプロアプリあるいは本家パワプロにちょっと拾ってもらうとか、それが昂じて何らかのグッズが出たり、あるいはネット上のインタビュー記事で非公開裏設定を語ってもらうとかそれくらいが期待の上限だろうと考えていた。実際、去年くらいからこうした動きは実際にあり、それなりに旧ファンが盛り上がっているのも観測できて満足していた。

 Amazonのギフト券も当たったしね(自慢)
 しかし、今から思えばこれらの動きも全部復活への布石だったのか…。それくらい復活は予期していなかった。おれ、KONAMIにメールを送らなかったけど、恩恵だけ享受して大丈夫っすか?
 まあそういうわけで個人的なパワポケ観(?)と『R』への期待を記事にしてみることにした。
www.konami.com

パワポケとの出会い

 私にとっての初パワポケは『9』である。パワポケはシリーズとしては14+αなので、全体で見たら後半参加だし、付き合ってたのも4、5年…改めて見るとそこまででもないな!そもそも私はパワプロ自体にあまり縁がなかった。自分でも持っていなかったし、小学生時分には友達の家でゲームをさせてもらうこともあったが、野球ゲームはなかったように思う。従兄弟が祖父母の家でプレイしていた時に相伴させてもらったくらいだが、その時もただ打てばホームランみたいなゲーム感覚で野球のルールも理解してないしサクセスに触れた覚えもない。パワプロの存在自体はもちろん知っていたが、それ以上の内実には全く触れていなかった。
 じゃあどこからパワポケが出てきたんだと言うと、弟が買ってたから…。陰キャ帰宅部*1の兄とは異なり、弟は小学校低学年から野球を自分でやっていて野球に造詣が深く(?)、友達との間で野球ゲームをやろうということになったらしい(詳しくは知らないが、弟もパワポケ以前は野球ゲームをプレイしていた形跡はなかった)。何か思い出してきたぞ…そもそもニンテンドーDSを買ったのもその時で、おれの方が暇だからってんでおれがDS Liteを買う下見に行かされてたんだった(当時は品薄で売っているか不分明だった)。弟の希望は別の色だったと思うが、クリスタルホワイトしか売っていなかったので、それを買ったんだったか…。
 まあそれはともかく、そうして弟が『パワポケ9』をプレイしはじめる。それをおれが覗き見る。そうすると自分でもやる。大まかにいうとそんな経緯で初パワポケとなった。
 しかしてプレイすると驚いた。サクセスが単なる育成ではなくストーリーがあるし、野球だけではなくクリアに必須のミニゲームもある。彼女攻略や仲間のパワーアップも一筋縄ではいかないし、アルバムといった見返りもある。裏サクセスはもはや野球関係ないスペースオペラ。こんなゲームがあったのか!単なる「野球ゲーム」では絶対にない世界がそこにあった。一番衝撃的だったのは武美を彼女攻略していたら正体がサイボーグであることが明らかになった瞬間ですね。野球メインのゲームでサイボーグなんて字面が並ぶなんて意味不明にも程がある(彼女攻略してなくてもサイボーグ選手発覚のニュースが流れたりもあったがのだけれども)。
 後から考えると初パワポケが『9』というのはベストだった。それなりに野球部分も洗練されていたし、致命的なバグもなかった(銀漢決戦は流れないけど)。すでに大河的ストーリーが背景にあることは何となくわかったが、特にそこにフィーチャーもなく、「裏社会」にも傾斜していない。初めてだから、という贔屓目はあるが、とにかくやりやすい作品で、今でもおススメである*2

パワポケの魅力

 めでたく『パワポケ』にハマり、『10』、『11』…と追いかけていくと同時に『8』以前の過去作(『1・2』『3』『ダッシュ』『8』。弟は『6』を欲しがっていて私は『7』をやりたかったが、結局買ってないな…)を中古で買ったりした。もっともGBAパワポケは野球部分が後追いでプレイするにはやや苦しくあまりストーリーを深められなかったが…。過去作の大まかな流れは結局ニコニコ動画の彼女攻略シリーズで見ていたりした。しかし、ゲームはストーリーだけ追っかければいいというものではなく、特にパワポケではストーリーに野球やミニゲームの可否や内容も関わるので醍醐味を逃してしまった感も強い。
 今ややフライング気味に書いたが、パワポケの魅力は野球から離れたところにあるのではなく、野球を一要素~メイン要素にしつつ、野球とは何の関係もないストーリーやミニゲームと連関して貫徹するところにあると思っている。そこに単なる野球ゲームではないコクがある。「野球バラエティ」とはよく言ったもので、野球中心だけれどもそれだけではない盛り沢山さが本当に面白かった。
 また、パワポケの風潮というか趣として斜に構えている部分も10代の精神には相性が良かった。10代はどうしても社会であったり王道であったりに懐疑的だったりするので、あえて社会や王道に挑戦したり分解する見方に共振した。もちろん今だとそんなのパワポケに特有の話ではないが、まあそうした見方の入り口にはなったと言えよう。あえて嫌がらせみたいな選択肢や展開やゲームを作って、ワイワイのっかるのも匿名掲示板で盛り上がるには都合が良かったし…こうして書いていくとホモソーシャル受けという面も否定できなさそうだが…。
 魅力と言えばキャラクターのアクの強さは今でもなかなかない。1サクセスで50人前後は出るわけでもちろん1回の中で全員出るわけではないし、中にはモブと割り切られるキャラもいるのだが、それでもプロフィールを設定でき覚えられるキャラをこれだけストーリー中に置けるゲームは少ないのではないだろうか(知らんけど)。武美のサイボーグにも驚いたが、彼女攻略もそれぞれ違ったストーリーがあるのが、彼女キャラの造形を作りこんでいて、全作で70人くらいはいると思うが、同じようなキャラだろと捨て置けるようなキャラがいない(同じキャラがシリーズを超えて彼女候補として使いまわされることはある)。これまた稀有と言えよう(そもそも14作も続いて毎回彼女攻略があるゲームどれだけあるんだ?)。
 そしてミニゲーム。これが本当にミニゲームという位置にすぎないながら、そうであるだけにお手軽かつ奥深い。これまたバラエティを彩る重要なピースであった。
 ちなみに私は、彼女キャラだと芽森わん子(『ダッシュ』)、天月五十鈴、三橋妙子(『10』)、シズヤ(『11』)、木村冴花、一ノ宮桜華(『13』)、ミニゲームだと「GOGOランラン」(『3』)、「くるまでぶぅ~ん3D」(『8』)、「夕日に向かってパンチDEポンチ」、「パパパでハイ!」(『9』)、「ぴったりあわせてPカード」(『10』)、「ちくちくちいく」(『11』)、「そのまま帰ってきたハコDEグチャ」(『13』)が好きですね。山本拓彼女(これ、以前は三浦陵介彼女とされてたのが変わってて驚き。研究における事実更新みたいだな)が基本的にツボだけど、理想の女性(そこまで言う?)は冴花かな…。

パワポケR』への期待

 『パワポケR』はパワポケ復活と言ってきたが、実質的には初代と2のリメイクになる。もっとも、初代と2のサクセスをベースにしたという表現を使っているので、単純なリメイクではないかもしれない。つまり、一部表現が令和3年現在に沿うものに改められたり、一部ミニゲームがなくなったりぬるくなったりする方かもしれない。リメイクにあたっての現代化というのはどう動いても課題なので、スタッフも解散して10年経ち、復活させるにあたってどういう処置がなされるのか不安半分期待半分といったところである。
 個人的には『1・2』を買ったはいいが、野球部分に慣れ切らないままでストーリーも深められなかった思い出があるので、現代化という点でいうと野球が現在のプレイに対応した進歩のある形になっているとグッとやりこみやすくなるのでその点は歓迎したい。ミニゲームもやりやすくなる分には良いのではないだろうか。一方で戦争編の理不尽な難易度はあってこそな気もして安易な容易化が良いのかとも気軽には言えないが…。
 パワポケ復活にあたっての外面で一番評価したいのは、ちゃんとパワポケの絵柄になっているということである。「パワポケパワプロも同じじゃないですか」「違いますよーっ」「これだから素人はダメだ」とは言わないが、パワプロの絵柄が徐々に洗練されていったのに対して、パワポケの絵柄は泥臭さや野暮ったさが残ると思っている。パワポケは一言で言うと「綺麗」じゃない。もちろんグラフィック面の進歩でデジタルな描画は綺麗になっていくのだが、パワプロのようなキラキラした感じがないと言うか…。説明が難しいが、そういった趣をきちんと残しているのは「復活」を傍目にもリアルに思わせる上で効果が大きい。
 一方、弟とのLINEのやり取りで気付いたのが、インターフェースがかつてとは上下逆になったこと。会話を上にパラメータを下に表示するようになった。これまた是非を問うものでもないが、確かに結構な違和感が…。会話が上自体は『12』の秘密結社編でもあったから要は慣れ、かなあ。ここは安易にパワプロまんまにして欲しくなかったかもしれない。
 また、「サイバーバル」なる戦車ゲームで選手を育成するモードが初代や『2』関係なく入っている。この「絶対いらないだろこれ…」なゲームがあえて入っているこの姿勢!ここだけですごくパワポケっぽい!つまらなくて蛇足になるんじゃないかとか、これ入るなら『3』のサクセスも入ったんじゃとか、そういう思いをあえて逆撫でする可能性まで秘めて入れてくることにパワポケスピリットを勝手に感じてしまう。いや、もしこれで失敗したら完全に「そういうとこやぞ」なんですケド…。
 やや横道だが、今回で初代主人公の顔グラフィックに目の下にクマのようなもの(何と言ったらいいのかわからない)が追加された。過去作でも『9』主人公は無精髭があったりして、お馴染みのパワプロくんフェイスでも差異がなかったわけではないが、初代主人公に個性がついたことは重要じゃないだろうか。今後そこまで行くかはわからないが『8』や『14』の主人公も同じ目つきをしていたことになるなら、初代主人公との関係について強い示唆になる。特に『14』主人公の出自については明言せずともヒントはもっとチラつかせてくれないものか。

流れは続くか

 基本的に私はパワポケ復活を寿ぐ立場だし、何よりパワポケが復活するなんて全く予想してなかったのでうれしいのは間違いない。しかし、大きな不安として「今復活して売れるのか?」という気持ちも拭えない。お話は流用、ゲーム部分もパワプロから流用しているだろうから、そこまで製作に金や手間はかけていないと思われるが、どれくらい売れたら成功なのだろうか?こうしたことを考えるのもつまるところ、続いてほしいからに他ならないが…。
 これは単なる個人の感想にすぎないが、前述した通りパワポケが過去売れたのは、携帯機のパワプロ、あるいは野球ゲーム需要が一番大きいだろう。今パワプロでなくてあえてパワポケで野球ゲームをしたいという需要がどれだけあるか。パワポケと言えばストーリーで有名な部分もあるが、ストーリー目当てに買う人間はどれだけいるのか。今でもYouTubeニコニコ動画に彼女攻略動画自体は普通にあるので、ストーリー目当ての層はかつてのようにそれを見て満足してしまう未来だってあり得る。しかし、ここを突き止めていくとパワポケの存在意義も危うくなりかねない。
 もちろん現在は初報が出ただけなので、今後ゲーム内容や宣伝で売る仕掛けを施していくのかもしれない。パワプロアプリで何らかの連動要素を設けるとか、不安に反してパワポケファンの潜在的人口が10万人くらいいたとか…。
 また、いかに今回の『R』がヒットしたとして、その次はどうなるのか。順当に行けば、次は『3』と『4』のリメイクだろうが…(一部には『3』以降の物語は『R』によって分岐するのではという予想もあるが、そうすると『3』以降のキャラを出せなくなっていくので、恐らく避けるのではないかと考えている*3)。ただ、これも結局徐々に袋小路に突入していき、例えばDS世代まで話題性が持つなんて楽観的な予想は出来ない。これまた個人的な要望だが、『7』までは何とかとも思うが、現実的には『4』まで行ったらとりあえず御の字だろう。
 期待と言うにはあまり読後感が良くない話だが、パワポケが「過去」ではなく「現在」に戻ってきたことには喜びと疑いが同時にある。果たして今後どう動いていくのか…目が離せないものが増えたとは言える。
 …まあここまででもパワプロアプリ等で流れはあったので『R』が失敗しても再封印と言うより、ほどほどの金蔓として今後もちょいちょい呼ばれそうではあるか。

*1:中学時代は部活入ってたぞ、一応

*2:うちの『9』は最近起動してみたらDS側からソフトが認知されない状態になっていてもうプレイできなくなっていた。ショック!

*3:『4』以降の裏サクセスでDS世代からの新キャラを拾っていくということも出来るはずなので、ここは期待したい