志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

デジモンバトルターミナル参戦デジモン考―ティロモンの謎

 『究極対戦!!デジモンバトルターミナル』は2006年の『デジモンセイバーズ』の放送に合わせて稼働をスタートしたデータカードダスだ。データカードダスというのはゲーム筐体にカードを詠み込ませることでプレイできるアーケードゲーム。当該期のデジモンの場合は純粋なカードゲームである『デジタルモンスターカードゲームα』とデザインフォーマットを統一することで、『バトルターミナル』排出のカードが『カードα』でもプレイできるようになっていた。『バトルターミナル』は『セイバーズ』放送終了後は『バトルターミナル02』となったものの、『セイバーズ』が1年で終わったように2007~08年のデジモン展開は斜陽の一途を辿っておりゲーム展開としては全6弾を予定していたのにカード展開は第3弾で終了するという、一言で言うと打ち切り展開を迎えた(ゲーム展開はカードの新弾がないまま稼働終了までの1月間隔で実装されることになった)。
 さて、そんな『デジモンバトルターミナル』シリーズだがデジモンの歴史の中ではそれなりに大きな存在感もある。『バトルターミナル』で作られたデジモンのCGポリゴンは一つの規格となり、『バトルターミナル』終了後もデジモンゲームの中で流用され続けたからだ。デジモンのCGポリゴンは2015年発売の『デジモンストーリー サイバースルゥース』で一新はされたものの、『バトルターミナル』のものをブラッシュアップして現在まで使われているポリゴンも存在する。言わば、『バトルターミナル』は現在まで続くデジモンゲームのポリゴンの規格を作った、と言えるのである。
 それだけに『バトルターミナル』参戦デジモンもまた、その後のシリーズに影響を与えた。『バトルターミナル』でポリゴンがあるからゲームにも登場しやすいという傾向があったのだ。一例を挙げれば2013年発売の『デジモンワールド リ:デジタイズ』は登場デジモンが驚異の84体という少なさだが、『セイバーズ』の主役デジモンにバンチョーレオモン、ダークドラモン、カオスモン、ビクトリーグレイモン、ズィードガルルモンなどがちゃっかり登場している。その一方で『デジモンアドベンチャー02』『デジモンテイマーズ』の主役系デジモンからはギルモン系譜くらいしかいない(一応アルマジモン究極体のヴァイクモンもいるがゴマモン究極体としての参戦と見るべきだろう)。後者より前者の方が大人気、なんてことは贔屓の引き倒しをしても言えないので、05~07登場デジモンが優先されたのは『バトルターミナル』に参戦していたおかげだろう。そして、『リ:デジタイズ』の拡張版の『デコード』ではブイモン系譜やレナモン系譜が追加されたものの、その後現在に至るまで『セイバーズ』主役2体はゲーム参戦を継続しているので改めて初期環境というのは大きいと言える。
 長々と書いてきたが、『バトルターミナル』からポリゴンが作られていた、というのは現在でもある種のブランドとでも言おうか、デジモン史における「強さ」がある。最近では顧みられることの少ない『セイバーズ』時代だが、なかなかどうして影響も大きいのだ。というところで、『バトルターミナル』登場デジモンを見ていると…

  • 成長期…アグモン、アグモン(黒)、インプモン、ガオモン、ガブモン、ガブモン(黒)、カメモン、キャンドモン、ギルモン、クダモン、ゴブリモン、サイケモン、シャーマモン、ソーラーモン、チューモン、ツカイモン、ドラコモン、ドルモン、パタモン、ハグルモン、ピコデビモン、ブイモン、ユキアグモン、ララモン
  • 成熟期…アイスデビモン、アクィラモン、エアドラモン、エンジェモン、ガオガモン、ガルルモン、ガルルモン(黒)、ガワッパモン、グラウモン、グラウモン(橙)、グルルモン、ゲレモン、コアドラモン(青)、コアドラモン(緑)、サンフラウモン、ジオグレイモン、スターモン、スティングモン、テイルモン、ティロモン、デビモン、ヌメモン、バケモン、ブラックグラウモン、ブラックテイルモン、ホエーモン、メラモン、ユニモン、レオモン、レッパモン
  • 完全体…ヴァンデモン、ウイングドラモン、エンジェウーモン、グラウンドラモン、シャウジンモン、スーパースターモン、ダークスーパースターモン、チィリンモン、ブラックメガログラウモン、ブルーメラモン、ホーリーエンジェモン、マッハガオガモン、マンモン、メガシードラモン、メガログラウモン、メガログラウモン(橙)、もんざえモン、ライズグレイモン、ライラモン、ルーチェモンフォールダウンモード、レディーデビモン、ワーガルルモン、ワーガルルモン(黒)、ワルシードラモン
  • 究極体…ウォーグレイモン、ウォーグレイモンX、エグザモン、オメガモン、カオスデュークモン、カオスモン、ゴールドヌメモン、シェンウーモン、シャイングレイモン、ジャンボガメモン、ズィードガルルモン、スーツェーモン、スレイプモン、スレイヤードラモン、ダークドラモン、チンロンモン、デーモン、デュークモン、バイフーモン、バルバモン、バンチョーレオモン、ビクトリーグレイモン、ファンロンモン、ブラックウォーグレイモン、プラチナヌメモン、ブレイクドラモン、ベルゼブモン、ベルフェモン、マリンエンジェモン、ミラージュガオガモン、メタルガルルモン、メタルガルルモン(黒)、リヴァイアモン、リリスモン、ロゼモン

 いきなり見せられても何が何だかわからないが、ぱっと見で『デジモンセイバーズ』主役デジモンや当時推されていた七大魔王・四聖獣、無駄な色違いデジモンの多さはわかるのではないだろうか。そうした展開的にいて当然だろうというデジモンを除いていくとどういうデジモンが残るだろうか(色違いはもうまとめてます)。

※『デジモンアドベンチャー02』勢
 冒頭でも少し触れたが『バトルターミナル』は『02』勢をあまり推しておらず、ブイモン、スティングモン、アクィラモンの3体だけがなぜだか参戦している。『バトルターミナル』ではアーマー進化もジョグレス進化もなかったので、『02』勢冷遇自体は仕方ないがそれにしても相当なつまみ食いである。ちなみに『セイバーズ』では知香のピヨモンがアクィラモン→ガルダモンという初代勢からすると謎に変則的な進化をしていたが、アクィラモンを挟んだのは『バトルターミナル』連動だった…?

  • 成長期…キャンドモン、ゴブリモン(シャーマモン)、チューモン、ハグルモン(ソーラーモン)
  • 成熟期…アクィラモン、エアドラモン、スターモン、スティングモン、ティロモン、ヌメモン(ゲレモン)、バケモン、ホエーモン、メラモン、ユニモン
  • 完全体…スーパースターモン(ダークスーパースターモン)、ブルーメラモン、マンモン、メガシードラモン(ワルシードラモン)、もんざえモン
  • 究極体…プラチナヌメモン(ゴールドヌメモン)、マリンエンジェモン

 ところで『セイバーズ』期にはデジモンをドラゴンズロア(竜系)、ネイチャースピリッツ(獣系)、ディープセイバーズ(水棲系)、ジャングルトルーパーズ(植物系)、ウィンドガーディアンズ(空中系)、メタルエンパイア(機械系)、ウィルスバスターズ(神聖系)、ナイトメアソルジャーズ(暗黒系)の8陣営に分類していた。旧カード世代の分類からするとアンノウンとダークエリアをナイトメアソルジャーズに統合し、逆にウィンドガーディアンズからジャングルトルーパーズを分立させ、主役ドラゴン系をドラゴンズロアにまとめたという処置になる。成立の都合上、ドラゴンズロア・ネイチャースピリッツ・ウィルスバスターズ・ナイトメアソルジャーズ偏重にはなっているが、『バトルターミナル』展開でも8分類をある程度バランス良く配置することが求められている。
 こうしたことを念頭に上のデジモンたちを読み解くと、キャンドモン→メラモン→ブルーメラモンはナイトメアソルジャーズ汎用進化系譜的なものとして採用されている。ナイトメアソルジャーズにはピコデビモン→デビモン→ヴァンデモンという系譜もいるが、何せ七大魔王の都合上、究極体が6体も余分にいるのだ。全員をヴァンデモンから進化させていると背負わせすぎなのでそれへの緩和だろう。ゴブリモン、チューモン、バケモンあたりもナイトメアソルジャーズのバラエティ感を出すための採用と見られる。
 メタルエンパイアとしてはハグルモン、スターモン、スーパースターモン、それにヌメモン系(もんざえモン含む)もいる。ヌメモン系はやはりデジモンといえば汚物であるし、ハズレ枠・特殊枠としての採用だろう。それにしてももんざえモン以外の全員が色違いを引き連れている(スターモン→スーパースターモンもカラバリみたいなもんなのにさらにダークスーパースターモンまで爆誕してしまった)のが、選考にあたって色違いも出せるかどうかを考案している節を感じさせる(世知辛くて嫌だねえ)。
 可哀想なのがウィンドガーディアンズで、実は『02』でスーツェーモンが参戦するまで(ちなみに最終弾となった第3弾がスーツェーモン参戦弾)究極体不在だった。さらに広げても成熟期のアクィラモンとエアドラモン、ユニモンしかいない。実は『セイバーズ』主役勢で鳥系のファルコモン系譜は『バトルターミナル』では一切参戦していない。カメモン系譜やクダモン系譜さえ揃っている中、ウィンドガーディアンズのみ成長期・完全体・究極体不在なのは不自然なので、本来はファルコモン系譜が参戦するはずだったのだと思われる。実際、『バトルターミナル』とCGポリゴンが同規格の『デジモンセイバーズ アナザーミッション』ではファルコモン系譜どころかピヨモン系譜までが勢揃いしているのだが…。『アナザーミッション』限定ポリゴンは『バトルターミナル』に輸入されることはなかったので、流用できない何らかの事情があり、その煽りなのかもしれない(そもそもカードαでもレイヴモンバーストモードのカード化が『セイバーズ』放送終了約半年後だったりしてファルコモンに冷たかったと言える)。エアドラモンやユニモンは神聖系(チィリンモン)・獣系(マンモン)あたりに繋げられるので、本来はウィンドガーディアンズ要員ではないのかもしれない(エアドラモンの場合、メガドラモンがいればダークドラモンへの進化系譜を作ることもできたが、なぜかメガドラモンはいなかったので不成立のままだった)。
 上記リストにはジャングルトルーパーズ要員もスティングモンのみである。ララモン系譜がいるだけウィンドガーディアンズより大いにマシだが寂しさは拭えない。
 ディープセイバーズにはカメモン系譜が揃っていたが、他にティロモン、ホエーモン、メガシードラモン(ワルシードラモン)、マリンエンジェモンも入っている。基本的にはホエーモン→メガシードラモン→マリンエンジェモンという進化ルートと思われる。これだけ見ると何だか変な感じだが、メガシードラモンは色違いのワルシードラモンがリヴァイアモンに繋がるし、マリンエンジェモンは神聖系からの進化先にもなるので汎用性が意外と考えられている。
 と、以上のようにだいたいの理屈付けができるわけだが…ティロモンは???
 やっと本題に到達したが、昔からティロモンだけ何でいるのかよくわからない、という話をしたかったのである。
digimon.net

 上記がティロモンとその設定。ちなみにティロモンはサメデジモンによく間違われるが、モチーフはあくまで滄竜(モササウルスの仲間)のティロサウルスである。テイルモンが誠実のデジメンタルでアーマー進化したアーマー体でもあるが、「テイルモンのアーマー体」としての出番はほぼ皆無な上、外見的にもテイルモン要素はない。
 そんなティロモンがなぜ『バトルターミナル』に採用されたのか?
 ティロモン自体に人気があったという話は未だに聞いたことがないし、『セイバーズ』に登場したわけでもないのでアニメ連動でもない。また、初期カードαではアーマー体をアピールするルールがなかったので、アーマー体としての採用でもない(『02』をテーマにした第4弾あたりからアーマー体デジモンは特殊能力欄に「◎アーマー体」と書かれるようになった)。『バトルターミナル』にはテイルモンとエンジェウーモンもいるが別に進化系譜として繋がるわけでもないのでテイルモン系としての採用でもない。
 それでは『バトルターミナル』内に参戦に足る理由があったのか?どうもそれもなさそうだ。カード的にはティロモンはディープセイバーズ以外ではマッハガオガモンやメガログラウモン(橙)に進化することもあったが、カードでよくある同じ弾にいたから進化ルートを繋げられるようにした以上の意味合いはない。ディープセイバーズ系ではカメモン系譜が揃っているが、外見的にカメモンやシャウジンモンと響き合う要素があるわけでもない。
 そもそもディープセイバーズ系の縛りで見ると、メガシードラモンとワルシードラモンまで揃えながらシードラモン不在が目を引く。進化系譜的にティロモンはシードラモンの代役なのだ。参戦デジモンにカラバリ連中が多いのも思えば、シードラモン→メガシードラモンとポリゴンを共通させることもできたはず(実際スターモンはそういう発想さろう)だが…。
 100歩譲ってシードラモンをスルーするにしてもホエーモンもいる中、もう1体ディープセイバーズから成熟期クラスを選ぼうとしてもティロモンにはなかなかならないだろう。ライバルとしてはエビドラモン、オクタモン、ゲソモン、シーラモン、シェルモン、ルカモン…アーマー体だとデプスモン、オルカモン、サブマリモン、マンタレイモン、アーケロモンがいる。ホエーモンとの対としてならルカモンを採用するだろうし、モーション的には2足歩行型のシーラモンの方が流用もしやすい。ゲソモンならナイトメアソルジャーズにも親和性がある。色違い目当てだと採用できるのはシェルモンくらいだがそもそもティロモンにも色違いはいない。
 ティロモンに一長があるとするなら、それは竜型に近しいことだろうか。ドラモン系だとエビドラモンという直球もいるのだが、奴さんはやや変化球だし見た目にカッコ良さがあるのがティロモンなのは間違いない…いやそれでもシードラモンでいいのだが。

 以上をまとめると、「別にティロモンに人気があるわけでもない」「シードラモンを参戦させた方が収まりも良くポリゴン作成の労力も抑えられる」「アーマー体実装の予定はなかった」「ディープセイバーズ枠で見ても優れている点があるわけでもない」のハードルを全て乗り越えてティロモンが参戦していたことになる。よほど当時のスタッフにティロモン推しの物好きがいたとしか言いようがない。




 ちなみに冒頭で『バトルターミナル』参戦デジモンはその後も優先的に登場機会が多かったと書いたが、ティロモンはどうだったのだろうか。実際、『デジモンクロスウォーズ』時期のデータカードダス『超デジカ大戦』に第1弾からいきなりカード化参戦もしている。同時期のデジモンクロスローダーや『デジモンストーリー 超クロスウォーズ』にもプレイアブルとして参戦を果たしており、CGポリゴンがあるから『超デジカ大戦』に出そう→それならギアやコンシューマーでもという流れがあったことは想像に難くない。セイバーズ時代の謎のティロモン優遇はクロスウォーズ時代にも影響を及ぼしていたのである。
 しかし、ティロモンの全盛(?)もここまでだった。ティロモンが『超デジカ大戦』でカード化されたのは第1弾のみで、二度とカード化されなかった。『バトルターミナル』では世代バランスとかディープセイバーズ要員などでカード化機会がある程度確保されていたが、クロスウォーズには世代もフィールドもないので、後々カオスドラモンやらグランクワガーモンやらファンロンモンやら強そうなデジモンが参戦してくると、ティロモンをわざわざ再カード化しても目玉にはならなかったのだろう。
 そして、その後ティロモンがゲームに登場することはなかった。これはアーマー体設定が枷になったのだと思われる。別にアーマー体の大多数なんて成熟期扱いで出せばいいのではとも思うが、10年代のデジモンゲームはまず設定等の整理やら登場デジモンの再構築やらからリスタートしており、アーマー体の実装自体が遅れた上、実際に登場してもフレイドラモンやマグナモンといった超メジャー枠のみに留まってしまった(『デジモンリアライズ』ではアーマー体も十二神将進化前として結構追加されたがその後コンシューマーゲームには回収されていない)。そうした中でティロモンが出られるはずもなく、『バトルターミナル』以来のアドバンテージは消えていったのである…。
 そうした中、2026年に入り『デジモンビートブレイク』においてライバルチーム・タクティクスのメンバー・鹿沼ホタルコのパートナーデジモン・シャコモンの進化先としてティロモンが登場!ななな…何…???
 ちなみに『ビートブレイク』のティロモンもなぜ抜擢されたのかはわからない。シャコモンとは水棲デジモンとしての共通性はある(実際旧カードでもシャコモンから進化するティロモンのカードがあった)が、言うてもそれくらいの話でシャコ貝がモチーフのシャコモンとティロモンに外見的な共通性は要素レベルで見てもない。下町のお好み焼き屋から努力による叩き上げでエリートチームに収まったホタルコの素性とティロモンにも響き合うものはない。タクティクスの他のメンバーを見てもサブの竜型から新たな進化系を与えられたライトのモノドラモン、死に場所を求めるグラニットの守られる場所を示しているルドモンと比べてもシャコモン→ティロモンはいまいち必然性がないし、ランフォモンやティアルドモンとの共闘がしっくりくるわけでもない(もっとも現段階でティロモンの進化後完全体は不明なので、シャコモンとティロモンから進化するに足り、ホタルコのキャラにも合っていてアズダルモンやライジルドモンと並んでもしっくりくる姿に進化する可能性はある)。『ビートブレイク』は『セイバーズ』と同じく山口亮太氏がシリーズ構成を務めているが、20年越しにティロモンが謎にピックアップされるという共通項も持つことになった。
 ただし、20年代デジモンはメディアミックス展開に熱心ではなくなっている。アニメ連動の玩具商品化もほとんどなくなったため、アニメ登場はシリーズ展開においてアドバンテージではなくなっているのである。なので、ティロモンはメインキャラの一体になったとはいいが、玩具どころか連動してゲームに登場する見通しもない。とは言え、今更にX抗体やクロスウォーズをテーマにしたギアが出る時代でもあるので、そのうちビートブレイクと強く連動したゲーム展開が来るかもしれない。そうなれば再びティロモンが『バトルターミナル』以来の謎の抜擢に足る登場をするのかもしれない。

 …というか、そろそろ何でティロモンを抜擢したのかスタッフが語ってくれてもいいんだよ?