志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

大東市立歴史民俗資料館・特別展「三好長慶と大東市の中世―飯盛城はそのとき―」

 今年は三好長慶生誕500周年!ということで、この秋は博物館展示やイベントが目白押し!9月23日から始まっている高槻市しろあと歴史館の特別展「戦国武将 三好長慶―生涯と人々―」に続く形となったのが、大東市立歴史民俗資料館・特別展三好長慶大東市の中世―飯盛城はそのとき―」!10月15日から12月11日の開催となっております。
www.city.daito.lg.jp
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 観覧無料ですが図録は1000円となっています。

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 三好長慶を紹介する漫画も500円で11日より売っているので布教にうってつけですね。

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永禄3年後半から永禄4年前半の内藤宗勝(松永長頼)・貞勝父子

 松永久秀は戦国武将でも知名度を誇る人物の一人だが、彼には有力な弟がいた。松永甚介長頼というのがその弟である。長頼の存在は長らく久秀の影に隠れていたが、今谷明氏が畿内戦国史研究を本格化させた中で注目され、その軍事的才覚が評価されることになった。そして、長頼は久秀の弟であるに留まらず、丹波守護代家である内藤氏を継承もとい乗っ取って、内藤備前守宗勝を称し、丹波一国をほぼ平定したことさえあることも知られてきた。
 そして、長頼・宗勝と当該期の内藤氏の動向は馬部隆弘氏の一連の研究によってさらに解明されつつある。馬部氏の内藤氏についての論点は多岐に渡るが、軽くまとめると、内藤国貞・永貞父子戦没から宗勝・貞勝父子の継承に至る微妙な政治情勢、丹波守護代の支配体制の継承、丹後・若狭出兵の基礎的把握などが挙げられる。
 その一方で、それぞれの論文を読む限りでは話が通っているように見えるのだが、総合していくとやや気になることもでてくる。具体的にはタイトル通り、永禄3年後半の内藤宗勝(松永長頼)・貞勝父子の居所についてである。

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高槻市しろあと歴史館・特別展「戦国武将 三好長慶―生涯と人々―」

 今年は三好長慶生誕500周年!しかしまあ三好氏ってまだまだマイナーな存在だし、生誕500周年だからと言って何かあるものでも…と思っていたら、秋から各所で三好氏にまつわる博物館展示や講演イベントが目白押し!まだまだ世間ではマイナーどころか、こんなにも仕掛けられるなんて三好氏の一大ムーブ来てるじゃないか…と思わされる羽目になりました。いや…本当にすごいな…。
 その嚆矢を飾るのが、我らが高槻市しろあと歴史館の特別展「戦国武将 三好長慶―生涯と人々―」!9月23日~11月20日の開催となっております。
www.city.takatsuki.osaka.jp

 地元民なので早速初日から行ってまいりました。一般200円で図録も500円なので無茶苦茶お得です。

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ウルトラヒーローズEXPO2022サマーフェスティバルの感想

 令和4年(2022)8月12日に池袋サンシャインシティで開催されたウルトラヒーローズEXPO2022サマーフェスティバルに行ってきました。前にこの手のヒーローと触れ合えるウルトラマンのイベントに行ったのは令和元年年末に行ったウルトラヒーローズEXPO ニュージェネレーションワールド in OSAKAぶりなので実に2年半ぶりという(去年特撮のDNA展に行ってなかったっけ…?あれは展示オンリーだったので)。実はウルトラヒーローズEXPO ニュージェネレーションワールド in OSAKAについてはしょっぱいという感想を当時書いたりもしていたのですが、まさかそこからこういうイベントから遠ざかってしまうような世の中になってしまうとは当時は全く想像できていませんでした。

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 令和2年にはウルトラマンフェスティバルはオンライン開催となり、令和3年には「ウルトラヒーローズEXPO」が新たなタイトルになりました。もっとも看板が変わったくらいで中身はほとんどウルフェスなのですが。去年もやるからには行きたいという思いもやまやまではあったのですが、アルバイトが減ったことによる資金難とコロナ禍への警戒、折しも病に倒れたこともありまして見送ることになりました。

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 しかし流石に今年は行かなくてはという思いが強かった。第7波は気になっていたものの、ワクチンは3回きっちりと打っているし、無防備ではないということと立ち寄る場所を極力減らして0泊3日プランで行くことにしました(もっとも第何波だろうが人流に無警戒な政府や世間のムードに後押しされている感覚がないというのはウソですが)。

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『ウルトラマンデッカー』第4話「破壊獣覚醒」感想

 『ウルトラマンデッカー』は予想通りと言うべきか、ティガをフィーチャーした『トリガー』に続いてダイナを意識する作品になっている。ということは、『トリガー』でゴルザとメルバが合体したゴルバーやガタノゾーアをオマージュしたメガロゾーア、あるいはガゾートやキリエロイドといったティガ怪獣の復活があったように、ダイナ要素の入った怪獣の登場やダイナ怪獣の復活が見込めるということである。果たして『デッカー』でも第1話からダイナの宇宙球体スフィアとは似て非なるスフィアが登場し、スフィア合成獣としてスフィアザウルスが登場、第3話ではゴモラにスフィアが取りついてスフィアゴモラになるという昭和怪獣を使い回しているからこその夢のコラボ(?)的新怪獣も現れた。
 そしてそして、ダイナ怪獣の復活が第4話にやってきた。選ばれたのはモンスアーガー!
 モンスアーガー!
 このチョイスは…感無量だ。

 モンスアーガーは『ウルトラマンダイナ』第11話「幻の遊星」に登場した怪獣だ。とある異星文明によってメラニー遊星への侵入者を排除するようプログラムされた生体兵器としての怪獣で、手を合わせて放つ「赤色破壊光弾」を必殺技とする。防御力も非常に高いが、後頭部にある青い部分が弱点。作中でもダイナを苦しめたが、モンスアーガーに滅ぼされたファビラス星人が連れていたハネジローが弱点を教えたため、ストロングタイプのストロングボムが後頭部に直撃し倒された。
 モンスアーガーは生体兵器というが、外見は怪獣スタイルの王道を行く。顔もトカゲ顔で、平成三部作怪獣では少なめな黒目持ち。背中を中心にトゲがあり、シルエットを力強くしている。一方で真っ赤なカラーリングやそれと対照的なクリアブルーな後頭部はモンスアーガーが自然界の産物ではないことを示している。王道の中にぎゅっとモンスアーガーを特徴づけるらしさが詰まったデザインであり、他のダイナ怪獣は王道が地味に埋没しがちな中モンスアーガーが目を引く存在であることを確かに印象付けるのである。
 モンスアーガーが登場したダイナ11話も個人的にはウルトラマンらしさが詰まった話でレベルが高い。スーパーGUTSが調査に訪れたメラニー遊星は一見すると自然あふれた平和な星に見えるが、それは全てまやかしであり、来訪者をモンスアーガーに殲滅させるための仕掛けなのであった。単純化すると、調査に行ったら怪獣がいたのでウルトラマンが怪獣を倒しつつ脱出した、というだけの話なのだが、未知の場所に行くということ自体がセンス・オブ・ワンダーだし、それが実はトラップというのも宇宙の奥深さを感じられる。単純さの中に仕掛けがあり、未知への感情を煽りつつ、ウルトラマンと怪獣のダイナミックなバトル(わかりやすい弱点で逆転するのも見逃せない)!これぞ醍醐味であろう。

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『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』感想

 近年出番が少なかったウルトラマンたちが一気にフィーチャーされ、新たな敵アブソリューティアンが登場し、まさかの起承転結の起でしかなかった『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』から1年4ヶ月…。ついに続編『運命の衝突』が「TSUBURAYA IMAGINATION」にて全10話独占配信されました。…間隔かなり長くなかったですか?ちびっ子だとウルトラマンを卒業してしまっている子も結構いそうで心配になる間隔ですが…。

※前作『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』の感想
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 さて本作では配信前にアブソリューティアンが新たにディアボロティターンが登場すること、前作ラストで拘束されていた戦士がウルトラマングロスという新ウルトラマンであることが明かされ、前作の物語がさらにパワーアップしていくことが示唆されていました。その一方でPV等を見ても今回でアブソリューティアンとの戦いが決着といった感はなく、起承転結で言うと承、転あたりの位置になるという予想でした。そういう意味では前作は完結しなかったことに落胆もありましたが、今作は完結しないだろうと事前にわかっていたのは良かったかもしれません。
 また、今作はウルトラマンUSAやネクサスといったメンツも参戦し、後述するようにユリアン救出チームが混成になったように単なる一作品どうこうではない大きな狙いが見えてきたと思います。どうしても監督の坂本監督がヒーロー出したがりといった面があるのでそっちに収斂されがちですが、流石に監督の一存だけで今回の着ぐるみ新造を伴うUSAや設定を持って回るようなネクサス登場に至るとは考えにくく、監督の性向もあるでしょうが何より円谷プロの方針があるのではないでしょうか。それは何かというと、ウルトラマンをいつでも誰でも使えるようにするということです。当然ですが各ウルトラマンは映像作品によって様々な設定や背景を背負っていますし、このウルトラマンといえばあのスタッフ!という連関が強く発生しているウルトラマンもいます。そうしたある種の「縛り」はそのウルトラマン特有の魅力でもあることは言を俟たないでしょうが、今後もキャラクター商売をしていくのなら適度にハードルを下げていくことが必要となります。「この設定を抑えておけばとりあえず誰がスタッフであろうが出すことが出来る」状態に持っていくということですね。そして大雑把にキャラを抑えてアクション含めて差別化できる坂本監督はまさにそれにうってつけの人材とも言えるでしょう。
 そしてユリアン救援隊はその実践のお手本ですね。前作でこのウルトラマンはこういう特徴があるとはっきり示せたメンツを一定の意図でチームにすると新しい魅力を引き出すことができる。これを示すためのものだったのだと思います。『ギャラファイ』シリーズは英語圏でも配信されているので当面はアメリカでの活動歴も長い坂本監督が手掛けるかと思います(坂本監督はもう国籍的にはアメリカ人だしね)が、行く行くは全く別の監督でも似たような作品は作れるようになるし、TVシリーズでの客演もチョイスの幅が広がっていく、そういう未来を目指しているように感じました。
 前置きがやたら長くなりました。本作は前作のように3部構成ではないので、キャラクターに注目して項目ごとに感想を述べ、最期に総評することにします。

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香西元成禁制に記された弘治年号

 近頃、森脇崇文「戦国期阿波守護細川家関係者「氏之」の素性について」(徳島地方史研究会『史窓』52号、2022年3月)が発行された。かつては「細川持隆」として知られていた天文期の阿波守護細川家(讃州家)の当主が実際に使用した実名が「氏之」であることを論証した貴重な成果である。
 ところで、その論証の基礎となった文書は新出ではない。岡佳子「玉林院所蔵讃州寺関係文書について」(『京都市歴史資料館紀要』9号、1992年3月)にて翻刻、紹介がなされているので、実に30年も前に公になっている。そして、その中には三好実休松永久秀の発給文書も含まれているが、いずれも『戦国遺文 三好氏編』などには含まれておらず、これまでの研究では全くスルーされていたのであった。
cir.nii.ac.jp

 すなわち、それらの文書は先行研究において活用されておらず、今回取り上げられることで阿波守護家の人名を確定できたように、新たな事実を明らかにできる可能性を秘めていると言える。
 本記事では新たな事実の確定、とはいかないが、既存の研究に一石を投じられるかもしれない文書を一つ取り上げたい。
 その前に典拠である「玉林院所蔵讃州寺関係文書」について説明しておくと、京都の西洞院に所在していた阿波守護家の屋敷内に祀られていた蔵珠院が、やがて讃州寺に発展、ところが阿波守護家の衰微とともに讃州寺も力を失い、大徳寺玉林院の末寺になることで近世を生き延びた。そうした経緯によって、讃州寺に宛てられた中世文書を現在玉林院が伝来しているという状況にある。

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