志末与志著『怪獣宇宙MONSTER SPACE』

怪獣monsterのコンテンツを中心に興味の赴くままに色々と綴っていくブログです。

4人の足利義氏―貴種足利氏が持つ権威と反権威

 「何と!足利義氏は4人いた!」
 「なななな何だってーーー!!!!」

となる人は多くないと思う。一般人なら「そもそも足利義氏って誰だよ」と一蹴されてしまいそうである。本質的には知識マウント以外の何物でもない記事だが、「4人もいたのか、知らない○人は誰だ?」という人は目を通しても損ではないんじゃないかと思う。
 足利義氏には、足利義氏足利義氏がいることはまだ知られているのではないだろうか。ただ、平成24年(2012)には足利義氏の存在が示唆され、足利義氏は3人になった。これだけだとどうにも足利義氏足利義氏足利義氏に比べて影が薄い感じだし、足利義氏列伝を構想するにはいかにも弱かった。ところが、平成30年(2018)足利義氏の存在が明らかとなった。この頃には「また足利義氏か」という感覚もあり、足利義氏が4人目というのも意識としてあった。よって、4人いるのなら足利義氏足利義氏足利義氏足利義氏に存在感が劣らず、何とか列伝でまとめられるのではないかという思いが初めて生まれた。そういうわけで足利義氏足利義氏足利義氏足利義氏についてまとめてみたのがこの記事である。足利義氏足利義氏足利義氏足利義氏はいかに足利義氏であったのか、存分に読まれたい*1
 …どうせだから、5人目も出て来ないかなあ…

*1:この段落が書きたかっただけでは…

続きを読む

新元号「令和」に思うこと

 先立つ平成31年(2019)4月1日、来たる皇太子殿下の御即位に向け、新元号「令和」が発表されました。

 いやはや驚きました。
 新元号がおめでたく発表されるのは近頃あまりなく…と言うか、平成4年生まれの私からすると改元を体験するのも初めてなわけで、興味津々でありました。その中で新元号は何になるのか、色々と考えていたのです。なぜだか「安」が入る元号がやたら予測されていましたが、普通に考えて首相の名字と同じ字を使ってしまうと、元号が政治の道具になってしまうことになるので、それはないだろうなと。明治以降の元号イニシャルMTSHも避ける。そうなると、候補の字としては「光」「元」「弘」「永」あたりを使ってくるのではないか…そんな風に予想していました。


 予知夢ならず!

続きを読む

DARKNESS HEELS WORLD(+ウルトラマンオーブダーク展)の感想

 平成31年(2018)3月30日大阪心斎橋のDARKNESS HEELS WORLDに行ってきました。ついでに同じ階でウルトラマンオーブダーク展も。ぼやっとしか情報を見てなかったし、心斎橋に土地勘もないので、同じ建物、同じ階で開催されているとは思わず、時間の測り方も誤ってしまった…。
f:id:hitofutamushima:20190330212350j:plain
 入場特典はイーヴィルティガでした。
 そういうわけでオーブダーク展から触れたいと思いますが、料金無料だけあって、愛染グッズの売り場がほぼほぼという、あまり書くことがない…。
f:id:hitofutamushima:20190330212313j:plain
 あ、置いてあったメカゴモラは当然ながら接触禁止ですが、柵などの類はないので、ものすごく近くで見られて、それは良かったですね。
 歴戦の傷跡残るメカゴモラ。劇場版R/Bにも出てましたが、いつまで出られるものやら。

続きを読む

松山重治―境界の調停と軍事

 松山重治とは一体何者なのか?松山重治なんて初めて聞いたという人にも、三好氏を齧っていて名前を知っている人にとってもこの問題は深淵なものを孕む。三好氏家臣の中での出世頭と言えば松永久秀である。近年では三好長慶の家臣団編成の特異性が指摘されており、松山重治という男が長慶に取り立てられていたということもそれなりに知られてきた。しかし、現状では出自不明から取り立てられた、ということが重治のイメージの全てと言っても過言ではないほど、重治の実態を知らずに「松山重治」という名前のみ漂っているのではないだろうか。それでは、松山重治とはどのような人間であったのか、この記事が新しいイメージを喚起する一助になれば幸いである。
 なお、松山重治にフォーカスした論は、管見の限り織田信長高野山攻めに関するものの中で断片的に触れられるに過ぎず、依るべきものは少ない。よって、この記事には不確定なものが多く含まれている。よく気を付けて読まれたい。

※本記事は松山重治および松山一族に関する情報を募集しています。また事実の誤謬などありましたら遠慮なくご指摘くださいますようお願いします。

  • 謎の松山一族・人名比定
  • 松山重治の登場
  • 軍事に活躍する松山重治
  • 松山重治に従った勇士たち
  • 松山軍団の編成と三好長慶の狙い
  • 三好政権の内紛と松山一族
  • 三好政権と松山軍団の「再興」と終焉
  • 織田信長高野山攻め
  • その後の松山重治と評価
  • 史料紹介:『太閤記』『紀伊風土記
  • 松山重治の図像
続きを読む

豊臣秀長の評価の推移とこれから

 豊臣秀長豊臣秀吉の弟である。何でもないような事実であるが、秀長の存在はあまり意識されることがない。兄である秀吉が最下層から天下人に立身出世した話は江戸時代初期から創作の題材としてメジャーであるのに対して弟の秀長の影は頗る薄く、兄の物語の中でも滅多に出て来ないからである。例えば、秀吉物語の中で最初期かつメジャーで後のベースになったものに小瀬甫庵太閤記がある。秀長は名前が出て来ないわけではないが、名簿の中に名前が現れるだけであり、人物造型は全くない。それどころか「秀長秀次秀俊*1などをば、甚しく取立給ひしが、何れか独御用に立給ひつる」(巻六)として、秀吉の「無能な親族」の筆頭に挙げられてしまっている。

太閤記 新日本古典文学大系 (60)

太閤記 新日本古典文学大系 (60)

 明治に入ると評論家山路愛山が積極的に歴史上の人物に対する評論を行っており、大著として『豊太閤』がある(この本は当時のベストセラーにもなっており人口に膾炙した)。この中では秀長はどのように描かれているのだろうか。ずらっと読んでみたが秀長本人は所々に頻出するものの、なかなか秀長評には辿りつかなかった。ようやく「豊臣秀次の位置の事」に秀吉の親族についてのまとまった記述があり、これによると秀長の評価は次のようである。

そも秀長は小一郎と称せし昔より秀吉に従ってほとんど同功一体の形あり。中国、四国、九州の合戦、いずれも兄と共に功を分たざることなかりき。されどその人と為りは兄に似たる所少かりしものの如し。(略)されど子というものなかりし秀吉にとりてはこの頼母しからざる弟もまた、まさかの時は家の柱の一本に数うべきものなりとせしならん。

 流石に十把一絡げに秀長を無能とは断じていないが、つまるところ「能力が劣るが重用せざるを得ない親族」という評価になる。秀吉と「功を分たざること」がないなら、秀吉の功績に秀長を含めてもいいのではないかとか、そもそも秀吉と比べて同等かそれ以上の同時代人なんてどれだけいるのかとか突っ込みたくもなるが揚げ足取りに過ぎよう。

豊臣秀吉 (上) (岩波文庫)

豊臣秀吉 (上) (岩波文庫)

豊臣秀吉 (下) (岩波文庫)

豊臣秀吉 (下) (岩波文庫)

*1:秀俊は後の小早川秀秋のこと

続きを読む

荒木村重って元亀3年(1572)に何してたの?

 最初に言っておきますが、この記事は疑問を噴出するだけのもので、記事タイトルの回答要素はありません。荒木村重研究会、何とかしてくれー!ってやつです。
 荒木村重まあまあ有名な戦国武将なのではないかと思います。通説だと織田信長に取り立てられて摂津の旗頭になったけど、不可解な謀反を起こし、その後逃亡した人ですね。あんまり評判は芳しくないですが、近年は研究に即したフォローの声もあります。まあそれはそれとして。
 何が問題なのかと言いますと、荒木村重の経歴を追うと「何があった?」と思う部分があるわけです。簡単に書くと次のようになります。

元亀元年(1570) 荒木村重池田知正らとともに主君池田勝正を追放し、池田氏を掌握する
元亀2年(1571) 荒木村重幕臣和田惟政を討ち取る
天正元年(1573) 荒木村重織田信長に従属し摂津を平定する

 何がおかしいのか気付かれたでしょうか?まあこれだけだとわかりにくいかな。この時期、すなわち元亀の争乱における畿内は、畿内再進出を目指す三好三人衆室町幕府織田信長の戦争最前線だったのです。元亀の争乱畿内方面は大概影が薄いのですが、これがなかなか重要な局面でして、村重の動向もこれに規定されるところが大きいのですが…。

続きを読む

【ネタバレ有】『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』感想

※この記事中には映画の内容に関するネタバレを大いに含みます。初視聴の驚きや感動を体感したい方にはおススメしません。

 平成31年(2018)3月8日と10日に都合2回『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』を観て参りましたので、今年はブログもあることですし、感想をまとめてしまいたいと思います。とは言え、かなり冗長かつダラダラしたものになりますので、御容赦を。
 まず、この映画を観る前に何を期待していたのかを述べて行きます。ハードルがどこらへんなのかということですね。
 今回の映画はあまり前情報は多くありませんでした。これはあまり出せる情報がなかったんでしょうね。例えば、例年だとあのウルトラマンや怪獣が出る、どの技を使う、タイプチェンジはするのか、ラスボス怪獣の力とは…等々を月毎に解禁していくわけですが、これが今回はとても貧弱でした。ウルトラマンジード・朝倉リクやウルトラマングルーブ、ウルトラマントレギアの登場も初報でわかっていましたし、ジード以外の客演ウルトラマンはいませんでした。スネークダークネスは解説がネタバレになってしまうような怪獣ですし(と言うかソフビのタグで正体バレしていた)、トレギアは後述しますが明かす情報が何もありませんでした。ウルトラウーマングリージョも登場自体は特筆することではありますが、能力や立ち位置は未知数です。
 そうした中で何かを期待すると言っても限られたものになってきます。映画ならではの要素がとても限られているわけですね。私の期待としては、だいたい以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • ウルトラマンR/B』最終章としてふさわしいものになっているのか

 『ウルトラマンR/B』の現時点における最終作品であることを思えば、まず当然ですね。ただし、私は『ウルトラマンR/B』のTVシリーズには今一つノリきれませんでした。まあそれはともかくとして、ギャグを交えた独特の緩いノリや兄弟のキャラ造型、属性技の使い分けなどは『R/B』の長所であると思ってますので、映画でもそこは伸ばしてほしいところです。
 一方で特筆される前情報としては、カツミの進路の問題があります。「君はウルトラマンか、湊カツミか?」という台詞もあり、カツミが何らかの決断を下すのは間違いなく、それが妥当なものか、そこに至る経緯は納得できるのか、カツミのその意志で以て『R/B』の物語が閉じられるに値するものなのか、そういった点が映画のストーリーにおけるハードルとなります。

 私は『ウルトラマンジード』は好きですし、劇場版を経て朝倉リク・ウルトラマンジードは真のヒーローとしての履修を終えたと思っています。今回リクは先輩として出るわけですし、彼の物語は血縁に呪われたものでもありました。そうしたリクが家族をテーマとするR/B組に入って、いい化学反応は生まれるのか。
 キャラクターの問題としては、リクがストーリー上でいかなる役割を果たすのか、登場する意味はあるのかが焦点です。また、ヒーローとしては各フュージョンライズはどれだけの出番があり、どこまで活躍できるのか。ウルティメイトファイナルは2度目の出番であり、各フュージョンライズの上位互換なところもあるので、使い分けや登場などにも注意したいですね。

  • CGを交えた特撮はどうか

 予告を見て驚いた部分です。それまでに特撮的に明らかにパッとしないなと思ってたのですが、CGを使う空中戦をやる、だと…。ウルトラマンがCGで描かれるのは『ウルトラマンサーガ』が最後で、空中戦もやったとなると『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にまで遡ります。まあその後も『大怪獣ラッシュ』や『ウルトラマンゼロAnother Battle』などでCGを使った戦いはやっていましたが、本編に帰って来るのは実に久しぶりです。ニュージェネレーションシリーズでは空中戦でも着ぐるみを使って演出するなど腐心していましたが、その上で描かれるCG空中戦はどのようなものになるのか。そもそも大画面で見られるほどのクオリティなのか、単に10年前の劣化演出になるのではないか、新しい表現性はあるのかなど未知数の部分でした。

 漠然とまとめてしまうと、とりあえずこの映画が作品として生まれたことは今後に少しでもプラスになれば良いな…程度のことです。低いのか高いのかよくわからないハードルだなオイ。

ウルトラ怪獣シリーズ 101ウルトラマントレギア

ウルトラ怪獣シリーズ 101ウルトラマントレギア

  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: おもちゃ&ホビー

続きを読む